表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕のお嫁さんが、ある日、三歳になりました。  作者: 冴條玲
僕のお嫁さんが、ある日、三歳になりました。
1/4

第1話 僕のお嫁さんが、ある日、三歳になりました。

「わぁ、可愛い」


 ティニーのところに遊びに行った、翌日のこと。

 小さなティニーが可愛かったねって話をしていて、三歳のデゼルとか見てみたかったなって、何の気になしに言ったんだ。

 そしたらデゼルが、魔法で三歳になったんだ。

 デゼルの方も、何の気なしに見せてくれようとしたんだと思う。


 ぶかぶかの巫女服に埋もれた、可愛らしさの限界に挑む生き物みたいになった三歳のデゼルが、きょろきょろと周りを見た後に、僕を見た。

 あどけなく澄んだ蒼の瞳で、じーっと僕を見た。

 綺麗なその瞳を見た僕の胸を、一抹の不安が掠めた。


「――だれ?」

「えっと、僕?」


 三歳の、すごく可愛らしいデゼルがこくんとうなずいた。


「サイファ」

「さいふぁ」


 デゼルがまた、きょろきょろと周りを見た後、だっこ、と僕に手を伸ばしてきた。

 

 ――たいへんだ。


 すごく可愛いけど、デゼル、中身も三歳なんだ。

 このデゼル、僕のことわかってない。


 だっこしてあげると、デゼルが心地好さそうに笑って、可愛らしい仕種で僕の肩に頭をもたせてきて、とてつもない甘さと心地好さにくらっときたけど。

 ちょっと、待って!

 デゼルの中身まで三歳になって、僕のこともわからない状態で、もとに戻れるの!?


「デゼル、あのね? 魔法の使い方、覚えてる?」

「まほう? しらない」


 どうしよう、やっぱり、覚えてないんだ。

 ああ、でも。

 八歳でもすごく可愛いのに、三歳のデゼルの可愛らしさは、ここまできたらもう、リーサルウェポンと呼べる域だった。


 そんな場合じゃないんだけど、あんまり、デゼルが可愛らしくて。

 魔がさして、目を伏せて抱き締めてしまったんだ。

 そうしたらデゼルの、ん、て、儚くて甘い声が耳の傍から聞こえた。


「ごめんね、苦しかった?」

「ううん。さいふぁ、すき。だっこ、すき」


 えぇーっ!?

 ちょ、このデゼル他の人に見せられない!

 こんなの落ちてたら、誰にでもとって食べられちゃうよ。

 それに、僕の状態もまずい。

 こんなこと言われて、理性のタガが外れそう。


「さいふぁ」

「――なに?」

「さいふぁ」

「? デゼル、なぁに?」


 腕に抱き締めたデゼルが、嬉しそうに笑った。


「よんだら、ふりむいてくれるからうれしい」


 くっ……!


 どうしよう、可愛い。


 マズイ。


「――!?」


 キス、してしまったら、三歳のデゼルがさすがに驚いた顔で、目をまんまるにして僕を見た。

 ほんとは三歳じゃないし、結婚してるからいいのかな。

 だめだったかな。


 だって、可愛いんだもん。


 ぼう然と僕を見てるデゼルの横顔に手をそえて、もう一度、キスしたら、最初、まるで動けずにいたデゼルが反応したんだ。

 僕の肩をつかんだ手に、きゅっと力が入って、服地を握り締めた。


 うん、マズイ。


 これ、苦しいのに気持ちよくて、もっとして欲しい時のデゼルの反応。

 知ってるから、僕の方も反応してしまって、その。

 舌、挿しちゃった。

 すごくさらさらしてて、怯えたように逃げるデゼルの舌に絡めにいったら、身じろぎしたデゼルが泣き出しちゃったけど。


 デゼル、すごくイイんだ。


 ぼろぼろに泣きながら、それでも、舌を絡めるのをやめた僕が、今度は、デゼルの首筋に唇をつけて吸ってあげると、たまらないみたいで、とっても綺麗な甘い声で啼いた。

 僕、デゼルをこんな風に、ぼろぼろに泣かせながら啼かせるの、すごく好きなんだよね。

 いやだとは、絶対に言わないんだもん。

 デゼルの手がきゅっと僕をつかんで、一生懸命に耐えてるのが可愛くて。

 苦しそうに震えるデゼルにすがりつかれるの、好き。


 さすがに、三歳のデゼルには刺激が強すぎるみたいで、息も絶え絶えだから、何度かだけにして、やめておいた。

 ふふ、可愛い。


 デゼルって学校とかではすごく大人びて、ううん、大人びるなんてレベルじゃなくて、大人の人と対等に会話してる子で、スキがないんだけど。

 僕と二人の時にはスキだらけで、なんでかな、僕のことが大好きなんだよね。

 覚えてなくても大好きなんだって、今、知ってびっくりしたけど。


 デゼルは僕と同じでみんなのことが大好きだけど、人懐こくはないんだ。

 むしろ、人見知りで、デゼルが僕以外の誰かにだっこをせがむのなんて、見たことも聞いたこともないのに。

 初めて会った日にも、僕にはだっこされたがった。


「デゼル、よかった?」

「? ……?」


 (はかな)い息使いで、泣かされて(うる)んだままの瞳で僕を見たデゼルが、僕の胸に顔を埋めるようにしがみついて、わからないくらいかすかにうなずいた。

 とっても可愛い。


 でも、困ったな。

 帝国のこととか、いろいろあるから、このままだとマズイ。

 それがなければ、可愛いし、デゼルが三歳からやり直しでも僕はいいんだけど。


 だって、可愛いんだもん。



  **――*――**



「マリベル様」


 神官長のマリベル様に相談に行ったら、デゼルを見るや、そのあまりの可愛らしさに、マリベル様はノックアウトされて昏倒されてしまった。

 後で聞いたんだけど、実際に三歳だった時より、神様から授かった祝福の影響で魅力がさらに上昇してしまって、大変なことになってたんだって。

 そんなデゼルを抱えて、僕はすごく理性的だったらしいけど、僕にはそう思えなかった。

 僕もたいがい、ひとつも、理性的じゃなかったと思う。

 理性的だったら、三歳のデゼルを泣かせてよろこぶような真似をしたはずがないもの。


 神殿の侍女たちなら昏倒はしないだろうけど、きっと、デゼルが三歳になってしまってなんて、相談されても困るよね。


 ええと、じゃあ、――ガゼル様?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ