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本野夢詩 短編集1

見えない服と見えない家来

作者: 本野夢詩

 昔々、ある所に賢王と称された王様がいました。王様はその賢さで王国を統治し、国民から慕われていました。そんな賢王が統治する王国に、あの悪名高い二人がやって来ました。

「俺達に騙せない人間はいないからな」

「今回もガッツリ稼ぐぞ」

その二人は様々な国で、王様・貴族や大商人達に実体の無い服を売りつけ大金を手にする詐欺師でした。二人はいつも通り行商人と称し、珍しい服を売りに来たので王様に会わせてほしいと、王の住む城の門番達に言いました。門番が許可を王様から得た後、城門が開かれ二人は王様がいる大広間に通されました。

「して、珍しい服とはなんぞや」

賢王が二人に質問すると、待っていましたと言わんばかりに二人は説明をハモリ始めました。

「「この服は、心の清らかな人間にしか見えない服です。この服を着ていれば、誰が忠臣であるかを知ることができます」」

そして、二人が持ってきた宝箱を開けようとすると

「待て」

賢王様は、そう言って宝箱を開けるのを止めさせました。そしてこう言いました。

「その服は、儂には不要じゃ。なぜなら同じ能力を持つ家来がいるからじゃ」

二人は、その言葉に驚きました。

「お主等の言葉を信じないわけではないが、心の清らかな人間にしか見えない服を売るそなた達なら問題なかろう。お主達を一番の忠臣に会せよう。さあ、入ってくれ」

賢王様の声で、大広間の扉が開きました。

「「?」」

二人は何が起こっているのか解りませんでした。二人には大広間の扉の前に立つ人影すら見えませんでした。その様子を見て、二人の正体を確信した王様は命令しました。

「この者達を捕らえよ。王を欺き不当に財貨を得ようとした大罪人である」

二人は大広間にいた衛兵達によって捕らえられました。そして罰として地下牢での強制労働二百年の刑が二人に言い渡されました。


 こうして賢王は、悪人には見ることができない忠臣のおかげでさらに名声を高めました。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 面白いです! これ、本当に「忠臣」がいるのか、それとも実は賢王様のハッタリなのかも含めて、いろいろ深読みできますね。 [一言] 誤字報告というわけではないのですが、 >お主達に、一番の忠臣…
[一言] 感想コメントからお邪魔します。 まさかの見えない忠臣とは恐れ入りました。王様に忠臣の姿が見えない時が訪れたら怖そうですね(笑) 面白かったです。
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