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夏休み

文がおかしいときは申し付けてください!


カナとユイの夏休み1日目が始まりますよ!!

中学3年生、夏。



「そんじゃーお2人さん、よろしくね。ばいばい。」

私の母、サトコと父、リョウイチ。

ユイの母、アキと父、マサナオが、大きな声をあらげ、

大きな荷物を抱えて飛行機で飛び立った。


中学最後の夏。私の両親とユイの両親が、友達の別荘へ夏休みの間泊まりに行った。

約2ヶ月間だ。

私、杉原花菜スギハラカナは、田舎に住む普通の女子。

そして幼なじみにあたるユイ(前木唯マエキユイ)。

両親が家を2ヶ月も空けるというなんとも無責任な行動により、

夏休みの間はユイの家に住まわせてもらうのだ。


ユイは、保育園からの幼なじみだ。

どこへ行くのも一緒、なにをするのも一緒

・・・

と、

仲がうらやむほどよかった。

しかし、中学にあがり、ユイは遠い存在となった。

友達が多くできるし、おかしな話もする。

どうしてか、次第に私たちは離れて行ったのだった。


そんな中でだ。

2ヶ月も中学生と同じ屋根の下で暮らすという。

馬鹿げた話だ。

しかしユイの家というものは、日本海を眺められる高いところに立ったデカい家だ。

そんな家であるからに、部屋の数も多い。

私はその中の1つの空き部屋を使うらしい。



「カナ」

キャリーバッグとリュックを持った私を、ユイが呼んだ。

「まあ上がれよ」

そう言ってユイは私の大荷物を手に持った。

「ありがとう」

感謝の気持ちをこめて一礼しながら告げた。

広いけどちょっと散らかった玄関で靴を脱いで、私はユイに着いていった。

「私に貸してくれる部屋って・・・どこ?」

「ああ、着いてきて」

ユイの黒髪がゆれる。

窓の外からふいてきた風、柔軟剤の香りもした。

「ここ」

2階の部屋に案内された。

「悪いけど、この家ん中で一番狭い部屋だから。」

「あ、うん。十分広いよ」

「そ」

私にとっては十分な部屋だった。ベッドも机もクローゼットもあった。

しかし、今見る問題ではない。

ユイが無愛想すぎる。

昔はあんなに可愛げがあったのに。変わったなあ。

「ユイ、食事とかお風呂とか洗濯物のこと、決めようよ」

思考と話を変え、ユイの視線をこちらに向けた。

「ああ、そうだな。荷物片付けたらな」

「なにそれ冷たい言い方」

ムっとした。最近の彼は気に食わない。

「お前は黙ってろ」

「はあ?」

極めつけの言葉が出た。『黙ってろ』

ユイはこんな言葉平気で使うようになったんだ・・・。

「いいよもう、下で待っててよね」

ユイを部屋から追い出して部屋に荷物を置き始める。

これからやっていけるのかな・・・



じゅんびが済み、1階へ下りた。

黒いソファに黒い物体がのっていた。

「ぎゃあ」

驚いてしまったが、物体の正体を暴くべく、そっと覗き込む。

「ユイ・・・」

ユイが横たわっていた。

疲れてしまったんだろうか、よく眠っていた。

「いくら夏とは言え風邪ひくよー・・・」

言っても無駄だった。


ザーー・・・・・・

水道の流れる音。

キュッ

止まる音。

ジュー・・・・・

焼ける音。

カチャン

皿の音。


目を開ける。

夕日が差し込んで来た。

・・・

どうして私・・・・眠っていたんだろう。

不信感にとらわれガバっと跳ね起きる。

6時30分・・・

黒いソファの上に座っていた。

胸とお腹にかけて、ブランケットがのっけられていた。

「なにが、風邪ひくだあ。自分寝といてよく言えるもんだな。」

ユイは机にたくさん皿にもった料理を置きながらつぶやいた。

「私・・・、眠ってましたか・・・?」

「うん、ぐっすりっと。」

「えええ」

恥ずかしい、しょっぱなから人の家のソファで寝るなんて。

「恥ずかしい」

顔をバチバチ叩き、眠気をとばした。

「このブランケットさ・・・」

「飯できたから食うぞ。」

私の言葉を遮られた。なんなのよもう。

このブランケット

ユイがかけてくれたんだよね。

てゆーか「いくら夏とは言え風邪ひくよ」って、

私が言った言葉。

聞こえてたんだね。


ユイに向かって手を合わせた。

「いただきます」

いいにおいがした。

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