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ケンカ

作者: 夏野ゲン



 ケンカの理由を相談するなんていうのはよくあることで。

 DVDに録画してあったドラマを彼が間違えて消してしまったとか、夕食は何がいいか聞いたのに、「何でもいい」っていうお決まりの返事が返ってきて、なんとなくいらっときてケンカになってしまったとか、なんかそんな感じのよくあることだ。


「そいで、今回はまたなんでケンカしたの?」


 私の向かいに座っている我が親友は、心底どうでもよさげな目つきでそう尋ねる。


「あのね……」


 これまでたくさんの相談を彼女にはしてきたけれど、今回のほすごく相談しづらい……!


「話す気がないなら帰るけど」


 我が親友様は、恐ろしく友達甲斐のない態度。

 ああ、もうさっさと話すしかないか!!


「あのね、その、『どっちの方が相手のことを好きか』でケンカになった……」


「はぁっ!?」


 我が親友様は苛立ちの混じるひどい剣幕。

 私は思わずびくりと肩をすくめる。


「ノロケならよそでやってくれないか」


「違うんだよぅ……。本当にケンカになったんだよぅ……」


 私のいじけモードに、親友様は頭をガシガシ掻きながら「ああもう!!」と怒鳴り、でも結局、話を聞いてくれる。


 話の始まりはどちらの方が先に好きだったかという話。

 それが次第にエスカレートして、彼がお前のためなら命をかけられるみたいなことを言いだしたから、命なんてかけられたら悲しい、なんていう話になって、なんだかんだでケンカだ。


 だけど、ケンカのあらすじを話しているうちに冷静になってくる。

 なんでこんなことでケンカしていたんだろう?


「よく考えると、なんでこんなことでケンカしてるんだろう?」


 私の心の声が口に出てしまった。


「んなもん私が知るか!!」


 我が親友様は大層お怒りな様子。ごもっともだ。


「えっと、うん。ごめんね。忙しいのに話聞いてもらって。私、彼に謝ってくるよ」


「ああ、謝れ謝れ。そして二度と帰ってくるな!!」


 そんな風に言って彼女は私を送り出してくれる。




 結局、ケンカはあったのかなかったのかもよくわからないくらいにフツーに仲直りした私たち。

 でもまたくだらないことでケンカして、彼女に相談行くんだろうな。私たちの仲良しの秘訣は、そういう意味では彼女なのかもしれないなぁ。



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[良い点] この物語可愛い過ぎます!
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