第七話:告白と少女
この物語はフィクションです。実在する人物・団体・事件などには、一切関係ありません。なお、この作品には一部同性愛的な表現を含みますので苦手な方はご注意ください。
シオリの顔はやはり赤くなっていた。
先程の不調そうな顔色が嘘のようだと思った。
「えっと…あの。」
シオリは黙って聞こうとしているが、視線を泳がせている。
「やっぱいいや!」
「は?」
ミヅキは大きく背伸びして、自分の肩に掛かったタオルケットで髪を拭き始めた。
シオリは眉間に皺を寄せて、それからミヅキの頬を指で突いた。
「…ッ!何するの!」
「ミヅキが悪いんでしょうが。」
それから冷めたようにシオリは中へと入っていく。ミヅキもそれに倣って本堂へ入っていった。
中は少し暗いが、シオリの用意した明かりがあった。中央に布団と荷物があった。
隙間風が入って寒いのではないかと思ったが、意外に暖かく快適な室温だ。
さりげなくシオリに訊いてみたら、部屋全体に魔法をかけていることがわかった。
先程のことを引きずっているのか、まだ言葉に刺があった。
「いい加減に機嫌直してよ。」
「だって…ミヅキが何か言いかけてやめるんだもん…。」
ミヅキよりも小さな身体を更に小さくしてシオリは落ち込んだ。正確には落ち込んだフリだった。
「あー…それは。言い難いことだったから。」
「何でも言ってよ。お願い。」
シオリは目に涙を浮かべてミヅキを見た。小動物のように見えるが他人から見れば子悪魔がいると思うだろう。
しかしミヅキにはシオリが可愛く見えてしまったためどうしようもない。
「じゃあ言うよ?」
「うん!」
シオリは勝った、と心の中で思いながら微笑んだ。
「好きなんだ。」
唐突にミヅキはそう言った。さすがに前触れもなく言うとは思わなかったらしくシオリは反応しなかった。
予想はしていたようだが、本当に言われるとは思わなかったようだ。
「シオリのことだよ。」
「うん…。」
返事をしながらミヅキの言葉を反芻していた。次第に理解したのか顔が赤くなっていく。
「ありがとう。」
今まで見たどの笑顔よりも綺麗で明るい笑顔だとミヅキは思った。
しかしそれからシオリはミヅキに得に返事をせず、夕食の準備をした。
あの顔に軽蔑の色が浮かばなくてよかったと、ミヅキもまた夕食の準備の手伝いをした。
やっと告白です。第七話いかがだったでしょうか。
読んでくださりありがとうございます。