世間は意外と狭い
「三宅?んなもん幾らでもいるだろ」
「うん、そういうと分かって聞いた」
緑が朝一に尋ねた質問は友人である中島透にとっては理解不能。
それがどうした、と音声にする前に緑はその回答をした。
「俺の幼なじみ?が一目惚れしたんだって」
「何で幼なじみにハテナがつく」
「え?ヒントそれだけ?」
「尚且つ探せと依頼が来た」
うわぁ、と途中から話に入ってきた桃井明日香(男)が声を上げた。
ぎこぎこと緑は椅子をこぐ。元々古い椅子なので軋む音が船のようだ。
「それで思い当たる節がないかと応援頼んだわけ」
「幼なじみ厄介だな」
「自分で探せーってな」
「だろ?」
気力の無い緑を笑いながら中島は提案する。
「シラミ潰しとしてウチのクラスの女子撮れば?盗|撮はお前の得意技だし」
「えー?フツメンなのに?」
「隣のクラスの三宅のがかわいいよな実際」
緑と桃井は好き勝手女子を評価する。
一部の人間は知っているが、この二人はコソコソと非公式に美女図鑑なるものを作っているのだ。
「まぁいいや、シラミ潰し確定は最初から決まってるし」
渋々緑はかわいいコを撮影する為のデジカメを取り出し起動させる。
(丁度いいところに)
緑は教室に入ってきた三宅青子を静かに撮影した。
※ばれたら犯罪
一方青子は教室に入って真っ先に友達の輪に行った。
「聞いて!昨日メッチャ怖いことあった!」
平滝紫織と塚地黄華はクラスでいつも一緒にいる親友だ。
「ナニナニどーしたのー」
「不良に絡まれかけた!」
「えぇ!?」
「マジ?」
「もう見た目ヤバいもん!ガチで怪我してるし服ダルダルだし髪の毛赤くして尖らせてんの!」
この際青子の友人達はモヒカン頭だと勘違いした。
「うわ悪趣味ー」
「やっぱりそういうのよ不良って」
ちなみに紫織は不良が大嫌いである。彼女は正義感が人一倍強いのだ。
「それで?どうして出くわしたの」
「本屋から出たら自転車置場にいてね、静かに過ぎようとしたら捕まってしかも睨んできた!」
「うひゃーっ」
「トーゼン焦って自転車漕いで逃げたよ!一人だけだったし撒けたから良かったけど」
「自転車あってマジ良かったね」
「一人ってのも奇跡だし」
「もー怖かった!ホント自転車に感謝だよ!」
「青子お疲れ」
「ホントつかれたぁ」
そうして授業が始まる合図が響く。
ダラダラと皆席に戻り、ダルダルな授業が始まった。
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乱暴な展開。科博が面倒になった。
やっと接点が出来ました。
セリフばっかりで厄介…
あ、盗|撮はいけませんよ。求める気持ちはわからんでもないが。