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利点と欠点は紙一重




[こーいーしちゃったんだぜぇったいきづいてなーいでしょー]




「え?」


梶原緑はメール本文を見て驚いた。

自宅の自分の部屋でしかもベッドに転がり睡魔に任せようとしてた時だった。

なんだこの意味不明な替え歌は、何事かと送信相手を確認すれば「赤鬼」の文字。

それは折原赤斗の別名だ。


「げっ」


緑は赤斗と腐れ縁であり高校進学時に別れたはずだが、こうして稀にメールがくる。

理由は緑自身知らないが、一先ず返信。




[どうした]


[三宅って知ってる?]


[誰だ]


[しらないから聞いてる]


[いつ俺がエスパーになった]


[セーラーってお前の学校の制服だろ]


[セーラーで三宅ならいくらでもいる

惚れたのか]


[うん。すき]



この時点で緑は「うゎめんどくせぇー」と声を上げる。

他人の恋愛に興味ない緑は俺を寝させろ、と思いながら更にメールを返した。



[ホントに誰だよ]


[だから知らないって]


[お前が知らないのに知るか]


[じゃあ探せ]




赤斗の返信に苛立つ。


(俺はパシリか。)


緑は返答しないまま携帯の電源を切り、布団に顔を埋めた。


すると



「緑ー、お友達から電話よー」

「あぁもうマジめんどくせぇ!!」



結局諦め布団から起き上がる。

部屋を出れば母親が階段の下で子機を持っていた。

早急に子機を受け取り部屋に戻る。

そして一喝。



「てめ家の電話に掛けんな!何で知ってんだよ!!」

「エニシは毎回そう言うよなー、携帯電源切られたから」


エニシ、というのは緑と縁が漢字が似ているからという理由で赤斗が勝手に呼んでいる名称である。


「あぁもうなんださっきのメールといい俺関係ねーだろ」

「あるぞ!三宅って人と同じ学校だからな」

「三宅って在り来りな名前いくらでもいるわ!探せるか!」

「そーだ、その人ポニーテールだった」

「……特徴はそれだけか」

「めっちゃ優しい。綺麗」

「………美人か?」

「おぉ」


その一言で緑は考え込む。

面食い縁の本能が反応したらしい。

美女なら調べ上げてやろう、なんて魂胆だ。

※詳しく話すと逸れるので割愛。



「三宅で美人なら一年にいた、確か眼鏡掛けてる」

「眼鏡?よく覚えてねぇ」


使えない奴だ、と脳内でごちる。


「三宅じゃねぇけど二年にポニーテール美女はいた」

「いや絶対三宅だった、俺の目を信じろ!」


信じろというなら眼鏡という大きな特徴覚えておけ!とまた緑は言葉を飲む。


「それ以外は知らねぇ」

「お前案外使えないな」

「情報提供したのに言う言葉か」

「とにかく探せよ頼んだぞ」


ぷちっ


「あ゛」



最初から自分がやれば良かったのに、赤斗に電話を切られた。


「最悪だ最悪だ最悪だ!!」


もう一度かけ直すが携帯の電話が切れるアナウンス。

緑は文字には出来ない叫び声を上げながらベッドに沈没する。

赤斗のお願いの副音声が「やらなかったらどうなるか知ってるだろ?」と聞こえた気がしてならない。

あぁめんどくさいことに巻き込まれた、と緑は頭を抱えた。




携帯電話。

利用方法は正しいのに翻弄させる。

それは持ち手の意思によってそうなるのだ。




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