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#??? そして怪異は世に羽ばたく

 9月某日、午後8時50分。


 俺はスマホでYuiTube(ユイチューブ)の配信待機画面を開いて、流れてくるコメントに目を通していた。


『こんばんは~。いよいよ未攻略ダンジョン進出ですね!』

『あと10分……』

『全裸待機中』

『アーカイブやっと見終わった! 初リアタイです!』

『まだ始まってないのに既に同接5万で草 ひまじんかよw』

『仕事終わらせて来た! 間に合ったか!?』


 ものすごいスピードで流れて行く、コメントの数々。これを数ヶ月前の俺に伝えても、信じてもらえたかどうか怪しい。


 【トイレの花子さんと行くダンジョン配信珍道中【特別企画】チャンネル登録者数100万人達成記念 未攻略ダンジョンRTA】


 俺達がこれから始めようとしている、YuiTube(ユイチューブ)配信のタイトルである。ついこの間まで、チャンネル登録者数100人にも届かない過疎チャンネルの一つに過ぎなかった俺のチャンネルだが、あることをきっかけに、心霊スポット巡り配信からダンジョン配信に方向転換。幸い仲間達に恵まれて、俺のチャンネルは大きく飛躍を遂げた。


「ちょっと、あんた。そろそろ配信始める時間なのに、そんなところで何やってるのよ」


 声の主は、見た目10代半ばの少女。うちのチャンネルのメイン看板娘にして、頼れる相方。俺の人生を大きく変えた張本人である、トイレの花子さんこと徳村(とくむら)花子(はなこ)だ。


 身長は俺よりも頭一つ分小さい150センチほど。その小柄な身体を包んでいるのはブレザータイプの制服だ。おかっぱと呼ぶにはオシャレ過ぎる(つや)やかなボブヘアーはサラサラで、手入れがよく行き届いている。やや長めの前髪から覗く、鋭い目つきに長いまつげ。すっきり小鼻に可愛らしい唇。それを囲む輪郭も、すっきり小顔で、多くの女子を敵に回しそうなほどの美少女だ。


「ああ、いや。ちょっと昔のことを思い出してたんだよ」

「はぁ? 何、ジジくさいこと言ってるのよ。まさかターボのおばあちゃんの影響でも出た?」

「勝手に人のせいにしないでおくれ。(わし)にゃ、そんな能力はないよ」


 横から会話に入って来たのは、ダンジョン飯なら何でもござれ。飯炊きを任せたらメンバー随一の料理上手である、ターボロリばあちゃんこと絹川(きぬかわ)芳恵(よしえ)


 見た目は、いかにも生意気そうなロリっ子。見た目の年齢的には5歳くらいに見えるが、風情漂う柄の着物を着こなす様は、どこかの名家の人間だと言われれば信じそうなほど。肩甲骨にかかるくらいの白髪(はくはつ)はうなじの辺りできれいにまとめられており、それを()めるかんざしが、とても風流だ。元々は普通に老人姿のターボばあちゃんだったのに、何の影響だが幼女の姿になってしまった。よって怪異としての名称は『ターボロリばあちゃん』に変更した次第だ。


「ぽぽぽぽ」

「はぁ? 心労? こいつが? それはない」


 最後に合流したメンバーは、高身長が目立つ力自慢で、我がチームになくてはならない情報発信の申し子。八尺様こと大崎(おおさき)澄香(すみか)


 身の丈8尺――2メートル40センチほどにもなる高身長だが、見た目の年齢は20代前半と言ったところか。腰にまで届く長い黒髪ストレートと、その合間からちらりと見える、モデルも裸足で逃げ出すほどの美人顔。美人度合いで言ったら、花子さんよりも上かも知れない。そしてワンピースの上からでも見て取れる、豊満な胸とくびれた腰、そして張りのあるお尻も大変見事。まさに美の化身と呼ぶに相応しい風格をまとっている。


 さて、今までに紹介した我がチームの女性陣。実は都市伝説で語られる、正真正銘本物の怪異達なのである。三年前に突如この地球の各所に現れた無数のダンジョンと、それに伴うダンジョン配信ブームのせいで、すっかり人間達から見向きもされなくなってしまった既存の都市伝説達。


 俺は少しでも彼ら彼女らを世に広めようと心霊系配信者をやっていたのだが、ある時出会った花子さんから「このままでは自分達の存在そのものが危うい」と言う趣旨の話をされた。そこで「ならばいっそのこと、元凶であるダンジョン配信を使って、怪異達の存在を世に知らしめようではないか」と言う俺の発案に乗ってもらい、こうして人間×怪異という異色の組み合わせで送るダンジョン配信を開始したのである。


『花子ちゃんのパンチラはよ』

『今回ターボロリばあちゃんの出番はありますか?』

『八尺様の壁ドン(壁ぶち抜き)プリーズ』


 花子さんと二人きりから始まったダンジョン配信。最初は視聴者も少なかったし、花子さんが怪異であることを疑われたりもしたが、元々インフルエンサーとしての知名度を獲得していた八尺様とコラボすることで、チャンネル人気は一気に爆発。ターボばあちゃんが加わった今では、チャンネル登録者も増え、配信は毎回大賑わいだ。怪異達の人気も上々で、彼女達を目当てに配信を視聴してくれる人も多い。


『どうせTAKA氏(タカし)が無双して終わりやろw』

『俺古参だけど、TAKA氏有名になっちゃったな~。心霊スポット配信してた頃が懐かしい……』

『ダンジョン攻略RTAという発想はなかった。てか、人間には不可能』

『怪異化TAKA氏はどんな世界記録を打ち立てるんだ!?』


 「TAKA(タカ)」と言うのは配信者としての俺の名前。視聴者の間では「TAKA氏」で通っている。「TAKA氏」まで言ってしまうと本名そのままなのだが、悪口を言われている訳でもないので、特に口を挟むようなことでもないだろう。「怪異化」の部分については、俺自身にもわからないことだらけなので、また後ほど。


「っていうか、パンチラパンチラうるさいのよ! こちとら好きで見せてるんじゃないっての!」

「ぽぽぽ」

「確かに。見られるのが嫌なら、上から何か穿けばいい話じゃ」

「ジャージだのスパッツだの、そんなダサいの穿ける訳ないでしょ! 華やかな見た目あっての女子高生でしょうが!」


 いつものことながら(かしま)しい。怪異とは言え、この辺りは普通の女性と変らないようだ。出生の時期も、地域もバラバラの三人だが、本人達の間では怪異仲間。その結束は、俺なんかでは入り込めないほどに強い。


 俺が温かい目で三人の様子を見守っていると、それに気づいた花子さんから怒声が飛んだ。


「ほら、そこ! いつまでおじいちゃんムーブしてるのよ! そろそろ時間よ!」

「わかってるって」


 俺はスマホをポケットにしまい、ウェアラブルカメラのスイッチを入れる。手ブレ補正もばっちりのカメラで、配信用の設定はばっちり。念のためにテストも行ったが、特に問題なさそうだ。もちろん同じものが、人数分。女性陣もそれぞれ装着済み。手元の操作でいつでもカメラ係が交代出来る仕様となっている。これで、誰がメインで動いても、配信にはきっちり映る訳だ。


 配信が始まれば、同接――同時接続者数も一気に伸びるはず。配信の規模が大きくなった分、カメラワークには気を使わないと、せっかく集めた人気(にんき)が台無しになりかねない。今回はRTA――リアルタイムアタックということで、一刻を争う配信になる訳だが、極力、見ていて快適な映像に仕上がるよう(つと)めるのがいいだろう。


「それじゃあ『トイレの花子さんと行くダンジョン配信珍道中【特別企画】チャンネル登録者数100万人達成記念 未攻略ダンジョンRTA』始めますか!」


 女性陣三人の返事を聞き届けてから、配信開始。俺達は未攻略ダンジョンへと、足を踏み入れた。

読んでいただきありがとうございます。


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『最強魔導士の星婚(ステラリガーレ)~異世界から召喚された勇者に恋人を奪われた上にパーティーを追放されたけど、英雄エルフを嫁にしたら最強超えて究極になった~』

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こっちはシリアスです!

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