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赤ちゃん無双。転生したら、ハイハイレースで神速の六冠王者と死闘することになりました。~恥ずかしい異名を私につけないでください~

作者: 未玖乃尚

 前世と同じアリシア本人に転生してから、私はほふく前進の研鑽に励んだ。

 お父さんは、訓練に没頭する私の技術に感心し、休日に私を室内運動場に連れてきた。


 壇上にはハイハイレースと書かれた横断幕。

 お父さんが言うには、そこそこ規模の大きい大会らしい。

 至るところに、抱っこされた赤ちゃんたちの泣き声が響いている。


 受付を終えた私たちは、待合所で待機していた。

 やわらかいクッションの上に座っていると、のっしのっしと私より一回り大きい赤ちゃんがハイハイしながらやってきた。


(見ない顔ね)

 どこからか声がした。

 誰かと思ってキョロキョロしてみる。周りにいるのは赤ちゃんばかり、少し離れたところで大人たちが、我が子の様子を見守っている。

 気のせいかと思って近くのボールを取って遊ぼうとした。


(私を無視するとは、いい度胸ね)

 また聞こえた。

 誰だろう、と首を捻ると体格のいい赤ちゃんと目が合った。


 え、まさかこいつ?

 体は大きいけれど、目はくりくりして可愛い。きっと女の子なんだろう。


(あなた、どこ園?)

 心の声が聞こえる。

 そんなことあるわけない、と否定しようとすると、別のところの声を聞きとった。


(お母さん、どこ~)

(オムツ変えて)

 ごくり。唾を飲み込む。

 まさか、赤ちゃんはテレパシーで交信できるのか?


 確かに今までも声は聞こえていた。だが、それは子供たちが口に出して会話をしていると思っていた。

 この赤ちゃんも、明らかに私の目を見て意思疎通を図ろうとしている。


(聞こえないの?)

 知らなかった。

 赤子同士はテレパシーで会話できる!


 これは大発見だ。ハイハイする年ごろの子供同士は言葉を発しなくても、意思疎通ができる。年を経るごとに、失われていく能力ということか。私がもっている前世の記憶で最も古いのは、おそらく二歳前後、その頃には、消失しているはずだ。


(どこ園って聞いてるの!)

 テレパシーなら、念じれば伝わるのかな?


(園って、保育園とか、そういう園のこと?)

(そんなことも知らないの? 赤子界では常識よ)

(別にどこにも通ってないけど)

(ふうん……)

 女の子は査定するように、私の全身を眺める。


(で、あんたこそ誰よ?)

 とりあえず言い返しておくか。

(相手に名を尋ねるときは、まず自分から。そんなことも分からないの? とんだお子ちゃまね)

 女の子は目を見開き、すぐに唇を歪めた。


(ふうん。この私を知らないとは……さてはあなた、デビューしたてのド新人ね)

 なんだ、こいつ。

 大物ぶっちゃって。確かに体だけは、大きいみたいだけど。

 発育の違いを比較していると、近くから大人たちの声が聞こえた。


「おい、あの子」

「ああ」

 周りの視線が、私たち、いや私の前にいる赤ちゃんに注がれているのが伝わった。


「『神速のリュシア』じゃないか」

「史上初の六冠を達成した、あのリュシアか」

「くそ、あの子が出てくるなら、今回の優勝者は決まったようなものじゃないか。うちの子は準優勝か~」

「いや、準優勝は俺の子が貰う」


 神速のリュシア!

 ずいぶん、大層な異名を持ってるな、この子。

 リュシアは大きなお尻をふりふりして、どかっと腰を下ろした。


(まあいいわ。私を知らないなら、今のうちに頭に刻み込んでおきなさい。神速のリュシア、一生忘れられない名になるはずだから)

(ぜんっぜん、興味ないんだけど)

 ハイハイレースの出来事なんて、記憶の片隅にも残らんでしょ。


(強がりはよしなさい、ひよっこさん。その強情さを称えて、優勝した際には、サインしてあげるわ)

(あんた、字かけないでしょ)

(ほんとに、常識しらずね)

 リュシアは大きな右手を突き出した。


(私たちのサインといえば、手形よ。覚えておきなさい)

 ウインクすんな。

(いらんわ、そんなもん)


(光栄に思うといいわ。パワー、スピード、耐久力、全てSランクの激レア赤ちゃんである私の優勝は揺るがない。七冠王者の姿を目撃してもなお、サインに興味がない、などと言えるかしら?)

 お尻を支点にして、リュシアが背を向ける。


(せいぜいスタート地点で泣きべそかいて、私の雄姿を見ておくといいわ。アハハハハ!)

 丸々したお尻がチャームポイントとでもいいたげに、リュシアは腰を左右に振りながら去っていった。

 いや。まてよ。


 リュシアのお尻が妙にこんもりしていた。

 漂う香りに鼻をつまんだ。

 あいつ、おもらししたな。



 -----------



 今回のハイハイレース、予選通過者は一名のみ。

 残ったものが決勝に進める。

 私はお母さんに抱っこだされ、スタート地点に向かおうとした。


 会場がオオーっという唸り声で揺れた。

 振り返る。乱雑に蠢いていた人の群れが、引き裂かれた海の如く左右に分かれた。

 裂け目の起点には、父親の腕にくるまれた、リュシアがいた。リュシアが身をくねらせる。察した父親が膝を折って、リュシアを床に座らせた。


「六冠王者リュシアだ」

「神速のリュシア!」

 どこからともなく異名が囁かれ、やがて喝采へと変貌を遂げる。


 四つん這いになったリュシアは右手を大きく前に出して右足を引き付け、ハイハイを開始した。

 首にぶら下げた六個のメダルがブラブラ揺れる。

 重いだろ、それ。掛けてやるなよ、親御さん。


 王者は悠然と、称賛渦巻く街道を進む。大人たちは、最強の王者にあやかろうと、手を伸ばしてリュシアの体に触れる。

 何だこれ?

 六冠王者だの、神速だの、ハイハイレースって、そんなに神格化されてるの?


 リュシアは大人たちのタッチを受け流しながら、スタート地点の中央に到達した。

 左右に位置する子供の親が慌てて、リュシアから遠ざけて空間を確保する。

 いや、気を使いすぎでしょ。


 まあ、そのスペースは私が使わせてもらうことにしよう。

 スタート地点は混雑していて、リュシアの隣しか空いていない。

 私は得意のほふく前進で、リュシアの左側に座った。


(あなたは、さっきのド新人さんじゃないの。なーに、ハイハイもできない、ほふく前進で参加するなんて、本当にひよっこさんじゃないの)

(ほふく前進がダメってルールはないはずだけど)

(ルールの問題じゃない。ほふく前進でハイハイに勝てるとでも思ってるの?)

(別に勝たなくてもそれはそれで構わないけど)

(中途半端な覚悟でハイハイレースに出ないで!)


 あんたはこだわりすぎでしょ。

(ハイハイレースとは、心技体全てが備わってこそのもの。あなたは技が圧倒的に足りてない)

 ドーン! 

 と背中に効果音でも背負ってそうね、こいつ。

 ちょっとイラっとする。

 上から大人たちの声が降ってきた。


「この組はもういい。どうせ、リュシアで決まりだ。戻ってレースに向けて、うちの子のメンタルケアをしよう」

 どれだけ、ハイハイレースに懸けてるんだろう、この人たち。


(まあ、いいわ。あなたは、そこらへんの有象無象の赤子たちよりは、よほど肝が据わっているようだから)

 リュシアがふんぞり返って、周囲を見回す。あちらこちらで、赤ちゃんたちが泣いていた。


(大半の赤ん坊は、私のオーラに怯んで泣いてしまったわ)

 いや、お母さんがゴールに行っちゃったからでしょ。


(絶対的恐怖に晒されても、まだ自我を保っているあなたに対して、敬意を込めて見せてあげる。六冠王者の、本気のレースをね!)

 六冠王者リュシアの首から、六つのメダルが外された。

 良かったな、苦しかっただろ、それ。


(さっき言ったわね。私は全てSランクの大当たり赤ちゃんだと)

 スターターの男性が笛を準備して、開始が近いことを告げる。


(激レア大当たりの私にとって、ほふく前進をするあなたなど、赤子の手を捻るようなもの。眼中にもない……)

 ほくそえんだリュシアが、言葉を、打ち消した。


 静寂が訪れる。

 スターターが、首にぶら下げた笛を摘まんだ。

 呼吸音が聞こえた。

 隣のリュシアだった。ゆっくり息を吸い、吐いた。それは、タイミングを推し量っているかのようで……


(これまで全てのタイトルを総なめにしてきた私の最大の武器。それが、この……)

 ピッ!

(スタートよ。)

 ドシュッ!

 笛の音と同時に、リュシアが体一つ分飛び出した。

 残響が、リュシアの背中を後押しする。


「速い!」

 観客がどよめいた。

 スターターの呼吸のリズムまで読み切って、笛の音と同時にスタート。

 もはや、その反応速度は赤子の領域を超越している。

 神速の異名は伊達じゃないってこと?


「決勝進出、いや、七冠王者確定だろ、これ!」

 誰かが叫んだ。

 大人が一目置く気持ちも分かる。

 赤ちゃんとしての実力は飛び抜けてる。


 まさに、無双状態。

 あんたに勝てば、私も無双できる?

 面白い。せっかく転生したんだ。やっぱり私も無双したい。

 まさか、赤ちゃんに、これほど燃えさせられるとは。


 私の武器は、ほふく前進。

 今泣いてる赤ちゃんたちは、予選突破の目はない。

 可能性があるのは、合図に反応できた私と他の赤ちゃんたちだけ。


 だが!

 リュシアはすでに中間地点に差し掛かっている。腕と足が連動し、最適なタイミングで体を跳ね上げ、前進する。一朝一夕で身に付く動きではない。リュシアのハイハイは正に理想形だ。

 湧きあがる歓声は、リュシアの王者としての風格を彩る装飾物でしかなかった。

 とてもさっきまで、おもらしを隠していた赤ちゃんだとは思えない。


 私はスタートしたばかり。ほふく前進はやはり不利か。他のハイハイする赤ちゃんの後塵を拝している。

 ならば。

 一か八か、ハイハイをする……か。

 いや、他の赤ちゃんならともかく、ここから、リュシアに追いつくのは不可能だ。しかも、私はハイハイもまだろくに出来ないという致命的な弱点がある。


 使う、か。

 あれを!


 リュシアが中間地点を突破した。あとは、母親の胸目掛けて飛び込むだけだ。

 これは転生後の無双への第一歩。勝たねばならない。


 しかし、と逡巡する。

 目立ちすぎはしないか、あれを使えば逆転の芽はある。


 ふと、雰囲気に気づいた。

 親たちの視線が我が子に注がれていることに。

 そして、観客の関心は、六冠王者リュシアの圧倒的パフォーマンスに向けてだ。


 つまり、両親以外、私を見てるものはいない。

 これからでも、逆転の可能性はある。

 できるか。

 いや、やる!


 リュシアよ、お前は間違えたんだよ。

 ほふく前進をバカにした。

 技が圧倒的に足りてない、だと?

 逆だ。その発言は、お前が、ほふく前進の究極奥義に達してしていないことを示す証左だ。


 お前は私を怒らせた。

 ほふく前進の力を舐めるなよ!


 一気に抜き去ると、さすがに不自然だ。まずは、追いつく!


 出来るだけ遠くに腕を伸ばす。床に爪を立て、足を引き寄せる。

 力を込める。筋肉が膨れ上がるのを感じた。空間が波を打つ。弛緩し、縮む。

 天井が、床が、蛇のようにうねった。


 時空が歪む。

 見極めろ。

 縮んだ瞬間に足を蹴りだした。


 奥義縮地!

 私がハイハイを捨てて、ほふく前進に全霊を費やした結果の産物。

 空間の波動に乗り、物理的な距離を消し去る移動術。

 前世で小説を読んで私が編み出した門外不出の奥義だ。


 目の前にリュシアのお尻が出現した。

 うわ、ケツ!


 出るとこ間違えた。

 リュシアが私の気配に気づいて振り返る。


(なにぃぃ! ほふく前進、どうやって追いついた)

 リュシアの叫びが脳内に響く。


「誰だ、あれ!」

 観客がどよめき、会場の空気が揺れ動く。


 問題は次だ。先ほどの大移動は一度きりだ。繰り返しだと目立ちすぎる。

 目の錯覚と思わせる程度の縮地を繰り返し、それでいて圧勝することが必要だ。

 会場の空気は、七冠王者の誕生を願っている。判定だと、負ける可能性がある。


 身体的には劣っている。

 リュシアの尻が遠ざかった。あの尻から離されてはならない。


 尻の大きさで距離を測る。

 縮地で距離を詰める。


「何だ、今の。一瞬、眩暈が……」

 大人たちの声がする。計算通りだ。短距離の縮地ならば、錯覚でごまかせる。


 あとは、こいつの尻だ。どうする?

 足を引っ張る?

 いや、さすがに悪役すぎる。


 ギリギリセーフのグレーゾーンを攻める。

 赤ちゃん同士のテレパシーだ。


(ねえ、ねえ)

(うるせい、話かけないで)

(バカにしてたほふく前進に追いつかれた気持ちはどう?)

(安い挑発には乗らないわ。言ったはずよ。私は全てSランクの激レア六冠王者……リュシア様よ!)


 速度が、上がった。

(なんぴとたりとも、私を抜けはしない)


 尻が、小さくなる。届かない。

 さすがだ。リュシアは小手先の戦術で勝ちきれる相手じゃない。

 私が間違っていた。

 ここからはまさに精神力の戦い。


 負けない。だてに前世で、バトル小説を読んでたわけじゃないってとこ見せてあげる。

 時空の風が吹き荒れる。足を蹴りだした。


 私はリュシアの尻を……置き去りにした。

 隣に現れた私を見て、リュシアが目を見開いた。


(う、うそよぉぉぉ! ほふく前進が私に追いつくなんて)

(ほふく前進をバカにする者は、ほふく前進に泣くのよ)


 油断は禁物だ。まだ、追いついただけ。会場をリュシアのホームグラウンドだと考えるならば、頭一つ分以上の差は必要だ。


 お母さんの顔が迫っている。腕を前に突き出す。筋肉が痙攣する。肉体的にも、これが最後の縮地か。


「おい、今空間が歪まなかったか?」

 男性が小さな変化に気付いたようだ。


「魔法? いや、そんな魔法聞いたことがない」

 縮地なんて魔法あるわけないでしょーが。

 これこそきっと、異世界転生で授けられた私のスキル!

 何か、地味だけど。


 とにかく、怪しまれないためにも、これで終わらせる。

 リュシアのペースは落ちない。さすが耐久力もSランクなだけはある。


(くそおぉー、私は神速のリュシアよ。今日も優勝して七冠王者になるの。ほふく前進に負けるはずが……)

(ありがと)

(なんですって?)

(生まれて初めてよ、こんなに真剣になったのは。前世の私では考えられなかった)

(前世? あなた、何を……)


 歪んだ空間に腕を差し込む。リュシアの瞳に、涙が浮かぶのが見えた。

 私は本気で勝ちたいと思った。そう思ったのはあなたのおかげ。

 体を、滑り込ませた。


(この勝利は私を成長させてくれる)

 テープを切って、私はお母さんの腕に飛び込んだ。




 -----------



 さすがに少し疲れた。

 お母さんに抱かれ頭を撫でられていると、自然と瞼が落ちてくる。


「おい、最後にあの子消えなかったか?」

 誰かの言葉が私を現実に引き戻す。

 目立ちすぎたか。


 ごまかし方を考えていると衝撃的事実に気付いた。

 私はまだ、しゃべれない!


「まさに電光石火だったな」

「一瞬だったね」

 夫婦らしき会話が聞こえる。


「無敵の六冠王者を一瞬で撃破、その様は瞬撃王の名にふさわしい」

 メガネをかけた男性が、レンズを光らせて厳かに呟いた。

 何ですか、その恥ずかしい異名は。あなた大層なことを言っているように振る舞ってるけど、結構恥ずかしいこと言ってるの理解してる?


「瞬撃王アリシア!」

 誉めそやす言葉をキッカケに、周囲から拍手が起きた。

 悪目立ちから、話がそれるのはありがたいけど、その異名だけはやめてくれ。

 ここにいる大人たち、ちょっとおかしい。あんたたちは思春期の子供か。


「電光石火の瞬撃王!」

 酷くなった。それはもはや褒め言葉じゃない。


 お母さんの胸元に顔を押し付けて、イヤイヤと首を振っていると、リュシアと目が合った。

 リュシアは瞼いっぱいに涙を浮かべて、大声で泣き出した。


「あらあら、この子ったら、どうしたの? そんなに悔しかったの?」

 リュシアのお母さんは、娘を高々と持ちあげてあやそうとした。


「ん?」

 お尻に鼻を押し当てる。


「お漏らししちゃったのね。オムツが重くて負けちゃったのかな?」

 冗談でめかして言うと、出口に向かってい歩き出す。リュシアはお母さんの肩に顎を乗せ、私に向かって舌を出した。

 おい、お漏らしのせいにするんじゃないよ。



 -----------



 神速のリュシア破れる!

 ハイハイ界に激震を起こしたニュースは即座に界隈を騒がせた。


(王よ、神速のリュシアが新参者に敗れたそうでございます。その名は、電光石火の瞬撃王アリシア)

(何が電光石火の瞬撃王だ。予選で力を使い果たして決勝を棄権したそうではないか。ペース配分もできないなど愚の骨頂!)


(ですが、その爆発力は侮れないかと)

(下界の話だ、捨て置け。リュシアも所詮はゼロ歳児。一歳児の我々からすれば、取るに足らん話だ)

(とはいえ、リュシアも確か十一か月。その実力は侮れないものでございます)


(ふむ。ならば、名だけは記憶の片隅においてやろう。電光石火の瞬撃王アリシア。ハイハイ界に王は二人もいらん。我の前に現れた時は、全力で潰してくれるわ。この爆走王、アリ一匹にも容赦はせん)


(数々の赤子を跳ね飛ばすそのお姿は、重戦車のごとき。まさに爆走王の名にふさわしゅうございます。)

(貴様も訓練を怠るな)

(申し訳御座いません、王よ)


(どうした?)

(実は先日、つかまり立ちをいたしまして、あれよあれよという間に歩くことを覚えてしまいました)

(なん、だと……?)

(歩き出すもの、ハイハイするべからず。掟に従い、引退の運びとなりました)

(そうか、仕方あるまい。ハイハイ界頂点の牙城は我が守ることとしよう)

(ご武運を!)


(そろそろ腹が減った。母御におねだりしてくるとしよう。離乳食はどうも口に合わん)

(母乳から離れると、離乳食もいけるものですぞ)

(貴様は分かっておらん。母乳こそ至高! 奇跡の飲み物だ、おっ……と)

(危のうございましたな)

(うむ。やはり、つかまり立ちはもう少し訓練してからだな)

お読み下さりありがとうございました。

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