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道具師ジェマ、所有者固定魔道具師への道。4  作者: こーの新


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10


 騎士団詰め所に帰ってすぐ、ジャスパーが窓から飛び込んできた。



「ジェマ! 合格だ! これ!」



 手渡されたのはジェマがずっと欲しかった重力の精霊魔石。ジェマの目がキラキラと輝いて、ジャスパーをぎゅうっと抱き締めた。



「ジャスパーありがとう! 大好き!」


「お、おう」



 ジャスパーが照れたように頬を掻き、ふんっと鼻を鳴らした。



「まあ、契約者のためならこれくらいするのが契約精霊ってもん……って、もう聞いてないな」



 さっさと作業を始めてしまったジェマの耳に、ジャスパーの言葉は届いていない。作業台の上にふよふよと降り立ったジャスパーに、ジェットはぽんぽんと肩を叩いた。



「ん? どうした?」


「ピピッ!」



 2本の脚でジャスパーの蹄を取り、るんるんと踊るように残りの足でリズムを刻んでぴょこぴょこと飛ぶ。



「はは、喜んでいるんだな。ジェマが笑っているからか?」


「ピッ!」



 ジェットの嬉しさが込められた声が響き、ジャスパーは声を上げて笑う。



「そうだな、嬉しいな」



 ジャスパーもジェットに合わせてリズムを刻んでくるくる踊る。1匹と1柱のダンスは、静かで、けれど笑顔に包まれていた。



「そういえば、我がいない間は何をしていたんだ?」


「ピィ?」



 ジェマが集積場に出かけている間、お腹が空いて騎士団詰め所の中を自由に歩き回っていた。何も言えなくて、しれーっと作業台を降りて布団に潜り込む。



「まったく。ジェマと一緒にいなかったな?」



 ジャスパーは小さくため息を漏らす。ジェマのためにも、ジェットのためにも。なるべく一緒に行動をして欲しいというのが親心。だけど親の心を子どもは知らない。



「まあ、興味のままに生きているところはそっくりか」



 種族も年も何もかも違うけれど、まるで姉弟かのように性格がよく似ている2人。ジャスパーはついつい笑ってしまう。



「まったく。そういえば、そろそろご飯の時間か」



 ジャスパーはジェマの背中を見ながら呟くと、ふよふよと部屋を出ようとする。しかし視線を感じてくるっと振り向いた。ジェットはそわそわしながら、ちらちらとジャスパーを見ていた。



「来るか?」


「ピッ!」



 ジェットは嬉しそうに返事をして、ぴょんぴょんと飛びながらジャスパーの後を追いかける。ジャスパーはこの無邪気さに懐かしさを感じながらふよふよと飛んでいく。



「ああ、こっちは冒険者ギルドの方に提案しよう」


「分かりました。商業ギルドにはどう伝えますか?」


「えー、あー……どうするか……」



 途中、騎士たちの部屋の前で聞き耳を立てる。シヴァリーとハナナが何やら話し合う声が聞こえて、ジャスパーは首を傾げた。



「何の話だ?」


「ピピィ?」



 ジェットはぐりんっと首を回して知らないことを示す。その様子にジャスパーは苦笑いを浮かべた。



「まあ、きっとジェマが関わっているのだろうと分かるがな」



 ふいっと身体の向きを変えて、再びキッチンの方へと飛んでいく。ジェットもぴょこぴょことその背中について行く。


 ジャスパーとジェットがキッチンに到着すると、誰もいない。ジャスパーはしめしめと言わんばかりに食糧庫のドアを開けてみる。



「ふむ。大した物はないか」



 少しがっかりした様子をみせながら、小さくため息を漏らした。



「ピピィ」



 一緒になって肩を落とすジェット。ジャスパーはその姿をちらりと見たとき、ふと近くに零れた豆の粉に特徴的な足跡があることに気が付いた。



「……ジェット」



 ジャスパーの低い声に、ジェットはびよよーんと飛び上がる。そしてカクカクとした動きでジャスパーを見上げた。



「これは、どういうことだ?」



 ジャスパーがその足跡を指差すと、ジェットは真っ黒な顔で震えあがる。真っ青な顔をしているのかもしれないけれど、黒すぎて全く分からない。


 その様子にため息を漏らしたジャスパーは、蹄でピンッとジェットのおでこを弾いた。



「良いか? 我々の行動は、全て契約者であるジェマの責任になるのだからな?」


「ピピィ……」



 ジェットが反省している様子で情けなく声を上げると、ジャスパーは苦笑いを浮かべた。



「やれやれ。しおらしさは百点満点だな」



 ジェットはさらにぺしょりとその場に丸くなる。そのまま寝落ちてしまいそうな姿勢に、ジャスパーの蹄パンチが飛んでいく。



「こら。今日は自由行動の罰として、夕食作りを手伝ってもらうからな」



 ジャスパーの言葉にジェットがこくりと頷くと、ジャスパーは満足げに頷いた。



「よし。それじゃあ、さっそくこれをみじん切りにしてくれ」



 ジェットは糸を使って言われた通りに森で収穫した山菜を山のようにみじん切りにしていく。ジャスパーはその間に浮遊魔法で肉を刻む。



「今日は豪勢に。お腹いっぱいになるものを作ろうな」


「ピピィ!」



 ジェットはすっかり元気を取り戻して、せっせとジャスパーのお手伝い。食事のこととなると目がない様子に、ジャスパーは苦笑い。


 浮遊魔法で刻んだ野菜と肉を同じフライパンに入れて、さっさと炒める。そこに卵を割り入れて、一気に完成。



「よし、特性チャーハンの完成だ!」


「ピピィ!」



 小躍りしているジェットに笑いながら、ジャスパーはささっと片付けを済ませる。そしてジェットを浮遊魔法で浮かせて一緒に部屋までふよふよと飛び始めた。



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