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忘れてしまった私達  作者: 柊 終
序章:高校入学前の出来事
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あの後の彼ら

すっげぇ長くなりました。お気をつけてお読みください。(ノワ視点です)

「あー、疲れたな」

そう言って俺はソファーの上に寝っ転がる。

「もっと慎重になったらどうだ、ノワ」

と、俺の後から入ってきた燐灰が言う。

「何の事だ?」

と返すと、すぐに答えが返ってきた。

「あの探偵のことだ」

ああ、あれか。

「もし、あの探偵が攻撃できるものを持っていて、反撃されていたら、どうするつもりだったんだ?」

「説教はやめてくれ、燐灰。もしそうなっていたとしても、あいつは俺を殺すつもりは無いだろう」

悪くて生け捕りにされるくらいだ、と言うと大して興味がなさそうな顔で、そうかと返された。


「依頼人には何時(いつ)会うんだ?」

今すぐにでも会えるのなら、会って渡してすぐ寝たい。そのくらいには疲れている。

そんなことを感じとったのか、

「使わなくてもいいのに『あの力』を使うからだ」

といわれた。幼なじみとは厄介なものだ。


「しょうがないだろ。良さそうなのがいたんだから」

そんなことを言うと燐灰にはやれやれと言った顔をされた。

「お前は他の人も人間なのだという事も、分かった方がいいと思うぞ」

「人間だとは思ってるよ、ただ他人にあまり興味が無いだけだ」

口をとがらせてそんなことを言う。

「そんなお前が俺や、一部の人間以外に興味を持つなんてな」

と、真顔でそんなことを言ってくる。

表情筋死んでるのか?こいつ。

こうなったら無理やりにでも話題を転換してしまおう。


「依頼人はいつなら来れるって言ってたんだっけ」

「取り返せたのならいつでも連絡してくれと。仕事をしている時だったら、他人に押し付けてでも行くと」

なら、連絡して早く来てもらった方がいい。早く休みたい。

「なら、今すぐ連絡しておいてくれ」

「そう言うと思って、もう連絡しておいた。後十分で来るとさ」

ほれ、身支度しとけ、と言われ、帰ってきてからすぐに脱いでソファーにかけていた軍服のような上着を取って着る。


「予想より早かったな」

そう燐灰が呟くと同時に扉がノックされ、開く。

そこには一人の老婦人がいた。

「本当に家の家宝は帰ってきたのでしょうか」

彼女は入ってくると同時にそんなことを聞く。

「勿論です。確認してみては?」


そう言って俺はサファイアの入った箱を取りだし、蓋を開けた。

そうすると彼女は食い入るようにそれを見、安心した表情になった。

「疑う必要もありません。これは我が一族の家宝でございます。取り返して下さり、本当にありがとうございました」

「いえいえ、お気になさらず。気をつけてお帰りください」


そう言うと、彼女は不思議そうな顔をした。

「本当に、お代を払わなくて良いのですか?」

「いいんです。誰でも相談できるようにやっているものですから。お金がある人からお金をとって、ない人からはとらないなんて、不公平でしょう?」

だから無償でやっているんですよ、と言うと、

「ならばお金ではない形で報酬を払わせて下さい。恩人に何もしないで帰るのでは、私が私を許せません」


そう言うと、彼女はサファイアとは別の、しかしとても似ている青い宝石と、銀色に輝く黒い宝石を出した。

「これは…」

「『黒曜石(オブシディアン)』と『灰簾石(タンザナイト)』です。これらもそのサファイアと同じように我が一族に伝わっていたものです。報酬として差し上げます」

とこちらに渡してきた。

「そんな大切なものを貰う訳にはいきません!」

と老婦人に返そうとするが、

「いいえ、貰ってください。私にとってこのサファイアは命と同じ。つまり、貴方がたは私の命の恩人なのです。そんな人になんのお礼もなしに帰れというのですか」

と言うので貰っておいた。


すると、彼女は「その石達は貴方達を護ってくれるでしょう。勿論、誰かにあげても構いません。それは既に、貴方達の物ですから」と言って、帰って行った。

「はぁー、やっと休めるー」

と、大きく伸びをしながら呟く。

「それにしても、さっきあの人が言っていたことはなんだったんだろうな、✘✘」

「さあな、俺に分かるわけないだろ。それよりも疲れているんだったら早く風呂に入ってこい。食事は作っておく」

「おっ、サンキュー。いつもありがとな」

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