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忘れてしまった私達  作者: 柊 終
序章:高校入学前の出来事
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影同士のやりとり

神様、どうかいつもの時間に投稿するのを忘れた私をお許しください。

ということでこの話は燐灰視点でお送りさせていただきます。

「壁際にいる人、出てきてください」

そんな声がした。

出るべきか迷っていると、さっき探偵助手だと名乗っていた娘がこちらを見る。

まるで、こちらのことは全てお見通しだとばかりに。

仕方なく、俺は自分が今着ている服の機能の一つである『透明化』を解いた。

「何故分かった?」

そう問うと、それを予測していたかのように彼女の紫色の目がしっかりと、しかしのんびりと俺を見て言った。

「企業秘密ですよ〜」


何故こんな状況になっているのかというと、話は少し前に遡る。

俺達が所属している(けど構成員は俺たちしかいない)、『盗品返却所』に一人の老婦人がやってきたのだ。

彼女は俺達にこう依頼した。

『自分の家の家宝が奪われてしまった。どうか取り戻して欲しい』と。

俺達が経営している盗品返却所は、その名の通り、盗品を盗み返し、元の持ち主に返すのが仕事だ。

もちろん、主であるノワは答えた。

『たとえどんなことがあろうと、絶対に取り返してみせる』と。


そんな事があり、現在。

ノワの正体は、あの白い名探偵に見事に見破られてしまっている。

しかも、ノワはあの探偵をそうとう気に入っているらしい。『あれ』を使っている。

人生とは、上手くいかないものだな、と思っていると、

同感(ど〜かん)ですね〜」

と、横から声がした。

見ると、探偵助手だと名乗っていた青い髪の娘が隣にいた。


確か、名前は藍晶と言ったか。

「そ〜ですよ〜」

「君は心でも読めるのか」

気づいたらそう言っていた。

「いいえ〜、人の表情で判断してるだけですよ〜」

そう言いながら彼女はノワ達の方を見ている。

「少し、暇でしたので話し相手になってくれるかなと思いまして〜」

それはそうだ。暇になるのも仕方がない。

もう、何かがない限りあの二人は2人だけで話し続けるだろう。


そんなことも感じとったのか、彼女は

「ブラン、大丈夫でしょうか?」

と聞く。

「大丈夫だ。あいつは基本的に、自らが敵だと認めた相手は、誰にも渡したくないっていうタイプだからな」

間違っても傷つけたりはしないと言うと、藍晶はほっとした顔になった後、複雑そうな顔になった。

「なんか、変な独占欲みたいですね〜」

少し引いた顔になっている。


「信じないのであれば、実験してみるか」

そう提案すると、彼女はびっくりした表情になった。

表情の変化が面白いなと、思っていると、

「ブランに傷でもつけたら、あなたの事を調べ上げて警察関係と『裏』に流しますよ」

急に雰囲気を変えて恐ろしいことを言った。

女子とは怒らせるとこうなるのか。

新しいことを知った。


「まあ、見てれば分かる」

俺は袖から細い針を出し、ブランの方を見すえる。

意外にもブランは、ノワの『術』を解いていたようで、藍晶を探していたのかこちらを見た。

俺はなるべく手を動かさないように、気づかれないように、彼女の顔目掛けて針を投げた。

そのことに気づいたのか、彼女は目を閉じ、顔の周りを腕で守る。

だが針が彼女の肌に触れる直前、ノワが針をつまんで止めた。

そしてそいつが俺を睨んで一言、

「何のつもりだ?燐灰」

隣から同情の視線が送られているのを感じる。

あぁ、やっぱりこうなるのか。


それからノワに責められて事情を話していると、警察車両のサイレンの音が聞こえてきた。

もうそろそろ時間かと思っていると、

「…燐灰?もしかして情報屋の?」

という声が隣から聞こえてきた。

だがその問いに答えることなく、俺はノワの元に行く。

「じゃあね、俺だけの名探偵。あの問いは、また後で答え合わせしよう」

と、ノワが言う。

こいつは名探偵のことを気に入ったようだ。

彼女には心底同情する。

「色々、迷惑をかけてすまなかった」

俺達はそれだけ言って外へと飛び出して行った。

少し長くなってしまいました。すみません。

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