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忘れてしまった私達  作者: 柊 終
序章:高校入学前の出来事
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サファイアの正体

「っはは、あははははははっ!!」

静かな部屋の中で青年の笑い声が響く。

気づくと、ただの警備員だった男が黒い軍服風の服に目元を覆うマスクをつけた青年に変わっている。

彼の髪は黒く、目は金色でまるで猫のようだった。

もしかして、ノワという名前はエルファス語の黒を意味する『ノワール』からとられたのだろうか。


「やっと本性を表しましたか?怪盗ノワ。」

ブランが問うと彼はピタリと笑うのをやめ、話し出す。

「本性というか、さっきまでのは全部演技だったんだけど」

気づかなかった?とこちらに投げかけてくる。

「気づいていたに決まっているでしょう。それに壁際にいる人、出てきて下さい」

そう言うと扉のそばの壁際に人が出現する。


金色の髪に緑の目。さらにノワと同じような目元を覆うマスクを着けた青年だった。

「……何故分かった?」

「企業秘密ですよ〜。なんにでも答える義理はないですから〜」

彼の質問に瑠璃が答える。

こんな状況でも瑠璃はのんびりしている。

相変わらず度胸がすごい。


「ねぇブラン、一つ聞きたいんだけど」

「なんでしょう」

そう返すと、彼の目が一瞬強く輝いた気がした。


「いつから()()()()()気づいていた?」


ノワに問われるのと同時に、私は少し奇妙な感覚に陥った。

急にノアが言ったことについて考えるように、それ以外を考えないように言われているようで、少し気持ち悪い。

恐らく彼が言っているこれというのはサファイアのことだろう。

ノワもあの飾りをベルトから外し、こちらに見せている。

こんな最悪な心地の中で答えたくはないが、謎を解いたらそれを言いふらしてしまうのも、人間の性だろう。


気がつくと、口が勝手に彼の質問に答えていた。

「初めに気になったのは、何故あそこに大量の、しかも種類が違う光源が置かれていたのかということです」

普通の美術品を展示するのであれば、光源の種類なんて一種類でいい。

なのに何故、あんなに沢山の種類の光源があったのか。


「なので、まず私は何の宝石であるのかを調べるために宝石の名前を確認しました」

すると、貼られていた宝石の紹介文と、それについていた写真はサファイアであることを示していた。

それを見て内心びっくりしたものだった。

光源が沢山あるということは、その光源たちを何らかの目的で使うということ。

つまりは、当てられる光によって色が変化する宝石だということ。

けれど、その宝石達を代表するアレキサンドライトではなかった。


「このサファイアは、『色変わりの蒼玉(そうぎょく)』。レカミア語で言うところの、『カラーチェンジサファイア』だったんですね」

全く、あの館長もしっかりしていないものだ。

自分が貰ってきた宝石の展示を疎かにするなんて。

「しかも、色は青からオレンジになるので価値は相当高い代物でしょう。ただ、それに気づいたのはついさっきですよ」

と言うと、何故か彼はパチパチと拍手をしていた。


「お見事。なら僕たちの依頼主も分かってるんじゃないか?」

エルファス=フランス、レカミア=アメリカだと思ってください。

12╱21 それぞれの国名変更

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