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忘れてしまった私達  作者: 柊 終
一章:夢の寮生活の始まり
19/23

知識と思考と記憶の海

曜視点のお話でございますー

「俺のコードネームは?」

その質問をした後、俺はすぐに後悔した。

だって目の前にいる月花には、分からないものだから。

「ごめん、さっきのは…」

忘れて、という言葉は出てこなかった。

否、出す隙もなかった。


彼女は俺が質問した瞬間から、思考という名の波に呑まれていった。

さっきまでの不機嫌そうな表情も消し、目の色が変わったかのように、俺が出した問題について考えることだけに集中している。

きっと、『俺』という彼女にとっての警戒対象のことなんか、彼女にとっては謎を解く鍵でしかない。俺という細く長い糸を辿って、知識と思考の海から考察という名の真実(こたえ)を引っ張り出そうとしている。


「すごいでしょ〜?月花」

気づくと両隣には灰簾と瑠璃が、俺を挟んで立っていた。

「あの子って、人一倍集中力はありますからね〜。きっともうすぐ答えに辿り着くでしょうね〜」

「同感だ。余程の事がない限り、あいつには隠し事なんか通用しない。覚えておくと得だぞ、曜」

「俺を挟んで会話しないでくれ」

「今のはお前に言ったんだ」

あの頃に戻ったような心地になった。

『あそこ』にいた時も、こんな会話をしたことがある気がする。


『ねぇ、よう!』

『きょうはなにしてあそぶ?』

ふと、頭のなかに小さな女の子の声が響いた。

何処かで聞いたことのあるような、でも思い出そうとすると、何重にも幕がかかってしまって思い出せない。逆に思い出そうとして、どんどん意識は深いところに潜っていく。


俺が記憶という名の深海に囚われている間に、彼女は答えに辿り着いたようだ。

「もしかして、『ディアン』でしょうか…」

彼女のその声が、彼女が呼ぶその名が、俺を現実に引っ張り上げ、深いところにいた意識を覚醒させる。

ふと彼女を見ると、不安そうな顔で俺からの答えを待っている。

さっきの声色から推測すると、出した答えにあまり自信はないようだ。


「…すごいね、当たりだよ。本当に当てられるとは思わなかった」

その辺の有象無象(うぞうむぞう)に言っているような嘘ではなく、本当に思ったことを言った。


すると彼女は、一瞬不機嫌そうな顔をし、すぐにそんなことなど微塵も思っていなさそうな笑みを貼り付けた。

「よかった。なんとなくでしたが、合っていたんですね」

その言葉だけは嘘ではない。

今の俺には、それしか分からなかった。

いやーなんか不定期気味になってしまって申し訳ないです。

ちなみに前回言っていた月花のコードネームですが、分かりましたでしょうか?

本文には出てこなかったので、ここで公開しちゃいますね。

正解は


『ルナ』


でしたー。

分かったかな?

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