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忘れてしまった私達  作者: 柊 終
一章:夢の寮生活の始まり
16/23

久しぶりの人

「はぁ、なんでSクラスなんかに…」

近くの並木のそばに立ちながら、未だに掲示板に群がっている人達を見ながら言う。

「まぁ、入ってしまったものはしかたがないですし〜、今更変えることも出来ませんからね〜」

「よくそんな冷静でいられますね、瑠璃」

じとっとした目で見られてもいつもの雰囲気は崩さない。それが瑠璃だ。

「憂鬱過ぎです、本当に…。Sクラスなんて、絶対に目立つじゃないですか」

「まあまあ、そう気を落とさずに〜。今日は久しぶりの人に会えますから〜」


久しぶりの人?

「すいません瑠璃、今なんて言いました?」

そう聞くと、瑠璃はあからさまに、「あちゃー」という顔をしながら自分の口を抑える。

「何も言ってませんよ〜。なにかの聞き間違いじゃないですか?」

いやいや、そんな分かりやすい嘘があるか。

現に、目も泳いでいるし、少し棒読み気味だった。

…少し予想を言ってみよう。

「なんか灰簾あたりに会えるって、言ってなかったでしたっけ」

「……気のせいじゃないですか?」

あ、嘘だ。思いっきり目が泳いでる。

いっそ我慢の限界が来るまで見つめててあげようかな。


「そこまでにしてやってくれ、月花。瑠璃が困っている」

そんなことを考えていたら、そばに人の気配を感じ、さらに声が聞こえた。

「噂をすれば…ってやつですね。久しぶりです、灰簾」

そう行ってそちらを向くと、長身の青年がそこにいた。

「ああ、何年ぶりかな。久しぶり、瑠璃、月花」

そう言って、目を細める彼。

日の光を受けて輝く金髪に、深海のような蒼い瞳。

記憶の中の彼が、成長した姿でそこに立っていた。


「助かりました〜、灰簾。月花には内緒で、サプライズにしたかったんですけど…」

ほっとした表情と、残念そうな表情が入り交じった、複雑な顔をしている瑠璃。

そんな顔をされると、私が悪いように思えて仕方が無い。実際、そうなのかもしれないけど。


「それにしても、お前達は変わらないな」

「身長がってことですか?ぶっ飛ばしますよ」

「月花〜、それはニッコリ笑って言う言葉ではないですし、言葉が汚いですよ〜」

あ、いけない。

つい幼なじみだけだから、いつもの口調が出るところだった。危ない危ない。


そんなやり取りをしている私達を見て、懐かしそうにしながら、「いや、関係が、だ」と言う灰簾。

それはそうかもしれない。正直、瑠璃との関係は、あそこにいた時と変わっていない。

うんうんと頷いていると、瑠璃も賛成するかのように口を開く。


「それを言うなら、君達もじゃないですか?」

君達という言葉に、少し引っかかる。

あそこから出たのは私達3()()だけだったはず…。


遠くから青年の声が聞こえてくる。

「おい、置いてくなよ灰簾。って何で瑠璃とさっきの人がいるんだ?」

「遅かったな曜」

「久しぶりですね〜曜」

頭にはてなマークが乗っかっているのは私だけではないようだ。

曜と呼ばれた青年も困惑した顔をしている。


瑠璃と灰簾は、お互いに顔を見合わせてこういった。

「さて〜、役者は出揃いましたし〜」

「お前達の記憶のすり合わせといこうか」

12╱18 少し修正

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