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忘れてしまった私達  作者: 柊 終
一章:夢の寮生活の始まり
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いつも通りの日常

こちら月花と寝てた男の子視点となります

「じゃね」

そう言って、俺はさっきまで一緒に寝ていた女の子と別れた。彼女も誰かを待たせているらしく、「では」と言って足早に立ち去っていった。

(俺も、あいつ探さないとか…)

そう思いながらその辺を歩く。


すると、あいつはすぐに見つかった。

「おい、助けてくれ(よう)

「相変わらずの人気者だな、灰簾(かいれん)

笑いながらそう言うと灰簾は思いっきり嫌な顔をし、お返しだとばかりに「お前もな」と言う。

「だってこの方が、お互い見つけやすいだろ?」

俺が灰簾を見つけた方法は実に簡単。『人だかりを探す』、これだけだ。


もちろんこんな方法、普通の人間ならできない。

だが、幸い俺たちは世間から見ると『かっこいい男子』になるらしい。

この学校の中等部に入ってから、毎日顔に笑顔を張りつけ、やたら高く甘ったるい声でピーチクパーチク騒いでいる女子に囲まれた。

最初はうんざりしていたが、高等部に入学した今では、もう慣れてしまっていた。


「でも、流石にうるさいからなぁ…」

だから、『これ』を使うのにも躊躇なんてない。

「『散れ』」


そう言った途端に、灰簾や俺の周りに集まっていた女子達が、「もう興味を無くした」とばかりに散っていく。

「すまん、迷惑をかけたな。いつも通りのか?」

ようやく人がいなくなり、自由に歩けるようになった灰簾が言う。

「ああ、もちろん。多分明日か、早くても彼女(あいつ)らがクラスに入ったくらいには解けるようにしといた。つまりはいつも通りだ」

そう返すと灰簾は、「そうか」とだけ言って、掲示板方面に歩いていく。

どうやら見に行くらしい。俺も着いて行くことにした。


まだ貼り出されていないにも関わらず、すごく人が集まっていた。まるでお正月の神社みたいだ。

「これは…見るだけでも一苦労だな」

あんな人混みを抜けないと見れないなんて…。

そんな俺の気持ちを察したのか、「人がいなくなるまで待つか」と聞いてくる。

もちろんイエスだ。あんなところに入って、もみくちゃにされたくない。


ふと、あの人混みの中に、懐かしい人影が見えた気がした。

(誰だ、今のは…?)

いつだったか、誰だったか、思い出そうとしても出てこない。

ただ思い出せるのは、とても大事な人だった、ということくらいだった。

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