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忘れてしまった私達  作者: 柊 終
一章:夢の寮生活の始まり
14/23

クラス発表

「おや〜?遅かったですね〜月花」

体育館から走ってきた私をニヤニヤしながら見る瑠璃。

「瑠〜璃?」

「なんでしょうか〜?」

知らんぷりしながら聞いてくる。分かってるくせに。

「絶対分かってて起こさなかったでしょ」

「何の事ですか〜?」

またしらばっくれた。

もう、瑠璃ったら。

「そんなことより〜、クラス発表見に行きませんか〜

?もうすぐ発表されますし〜」

口調は同じでも、目は泳いでいる。

すごくわかりやすい嘘だ。本人も分かっててやってるのかな?

仕方ない、乗ってあげよう。


「そうだね、自分が学年の中でどのくらいなのかも分かるし、見に行ってみよっか」

そう言うと瑠璃はほっとした表情になり、

「早く行きましょ〜、掲示板の前がいっぱいいっぱいになってしまいますよ〜」

と言った。

「分かった。早く行こう」

─────────────────────────

私達が入学したここ、明長(とせなが)学園は、広い校舎の敷地(すごく広い。屋上に立って見てみると、見渡す限りの全てが学園の土地である)が初等部、中等部、高等部、大学部に分かれている。

これだけでもすごいと思えるが、他にすごいところは沢山ある。


例えば、私達が今朝荷物を運び込んだ寮だろう。

あの寮は特定の部活動に入っていないと入れない、という訳ではなく、誰でも入れるのだ。

もちろん、家賃なんかない。

さらに、バイトもあり(高等部以上のみ)だし、学費も安い。


ただ、デメリットをあげるとするならば、偏差値が高いことと、校内でのクラスは順位順だというところだろうか。

まず一番上にSクラスという、学年で上位5人しか入れないクラスがあり、その次にAクラス25人、Bクラス30人、Cクラス30人と続いていき、最下位のクラスがFクラスである。

クラスは月に1度のテストによって変動し、上のクラスに上がったり、下のクラスに落ちたりもする。

皆、最下位のクラスにはなりたくないようである。


それもそうか、と考えを巡らせていると、

「あっ、発表の人達が来た!!」

という声が前の方から聞こえた。

見ると、大きな紙を持った大人たちが掲示板に紙を貼っていくのが見えた。

皆、それを息を詰めて見守っている。

そして貼り終わったのか、大人たちが撤収していくと同時に、見ていた人達の反応は二つに分かれた。

友達らしき人と抱き合いながら喜んでいる人。

それから、虚ろな目でじっと掲示板をみている人。

私はそのどちらでもなかった。


ただ、Sクラスと書いてあるところに自分と瑠璃の名前を見つけて、

「ぬ?」

思考停止しただけである。

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