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忘れてしまった私達  作者: 柊 終
一章:夢の寮生活の始まり
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居眠り

「ごめん瑠璃、聞き間違いかもしれないんだけど、いま皇尊(すめらぎのみこと)のご子息が同じ学年だって言った?」

「そ〜ですよ〜月花」

聞き間違いではなかったらしい。


「なんで受験の時に言わなかったの…。そして、なんで皇の一族であろう者が庶民の学校なんかに通ってるの…。そんな風習ってあったっけ…」

私は頭を抱えて唸る。

できれば一生、皇の一族になんて関わりたくなんかなかった。

だって他の国で言うところの『王家』なのだから。

「はぁ、こんなことになるんだったら瑠璃が行く所と同じにする、なんて言わなきゃ良かった…」

「落ち込んでても仕方ないですよ〜月花。もう受かってしまった訳ですし、今日は入学式ですし」

ぐぅの音も出ない。

「ぬ〜…」

「ぬぅの音なら出ましたね〜」

きっと瑠璃のことだ。知ってて隠していたんだろう。

決まってしまったことなら仕方ない。割り切ろう。そうしよう。


「さて、もうそろそろ食べ終わらないとですね〜」

「?もう食べ終わるよ?」

「早いですね〜」

「そんなもんでしょ。先、片しとくね」

そう言って食器を持って立ち上がる。

「今日は久しぶりに会う人が二人いますよ」

そんな瑠璃の声は

「ん?なにか言った〜瑠璃〜」

洗い物をしている月花の耳には届かなかった。

「なんでもないですよ、月花」

─────────────────────────

(早く終わんないかな)

そんな事を思いながら私は眠気と戦っていた。

できるだけ寝ないように気をつけながらも、やっぱり色んな人の話は長いわけで、眠くなってしまう。

しかも、私の席などはカーテンの隙間から漏れた光が丁度(ちょうど)あたる。眠いことこの上ない。


ちらっと後ろの方を覗き見る。

後ろの方にはちゃんと前を向いて座っている瑠璃がいた。

入学式の席順は新入生全体で名前の順だったので、瑠璃は後ろの方である。おかげで話せない。

それにしても、瑠璃はあんなに朝早くから起きていたのに、まだ平気そうだ。

瑠璃にしては珍しく、校長先生の話に熱心に耳を傾けている。

何度目か分からない欠伸(あくび)を噛み殺し、前を向く。

すると、隣の人につつかれた。


「もしかして、眠い?」

もう眠気でほとんど働いていない頭で頷く。

「俺も。一緒に寝る?多分二人くらいなら気づかれないだろうし…」

相手方も相当眠いようで、喋りながら舟をこいでいる。

もう私の眠気も限界に達したようだ。

「うゆ…」と小さく呟き、私の意識は暖かな夢の中へ落ちていった。

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