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忘れてしまった私達  作者: 柊 終
幕間:時と世界の狭間
10/23

星空と夢

こちら幕間となっております(立ち位置的には2章導入でもいいと思う)。

太陽の光に照らされた草原の中を、私は誰かに手を引かれながら走っていた。

「ほら、こっち。はやくはやく!」

そんな声が私たちを呼ぶ。


私の手を引いている子が、少し手を握る力を強める。

「ごめん、ちょっとだけすぴーどあげるね」

だいじょうぶ?と、拙いながらも聞いてくる。

「うん、だいじょうぶ。はやくるりとかいれんにおいつこう」

黙っていた私も、拙い言葉遣いでそう返す。

すると、少しづつだが確実にスピードが上がり、あっという間に呼んでいた子のところに着いた。


「おそいよ〜げっか〜」

そう私のことを呼ぶのは青い髪の幼い少女だった。

きっと、小さい頃の瑠璃だろう。

「そうだぞ✘✘、もっとはやくでてくるんじゃなかったのか?」

そう、瑠璃の隣に立っている金色の髪の少年が言う。

息を切らしながら私は言う。

「ちがうのかいれん、✘✘はわたしのことまっててくれたの」


久しぶりにその名前を聞いた。

それは、この少年の名前だった。

あの時は大して変わらない身長だったけど、今はどこまで伸びたかな。

そう思いながら見ていると、急に世界が暗転する。


暗い、監獄のような場所。そんな所に私達はいた。

「ねえ皆、ここから出ない?」

その一言で、ここがどんなの場面かなんて察しがついた。

「出れるんですか?月花」

瑠璃がそう問う。

「出れるはずだ。考えてもみろ、瑠璃。俺達の『能力』を最大限活かし切れば出来る。そうだろ?」

灰簾に説明を取られて、しかも質問までもされてしまった。

答えようとする私を遮って✘は言う。


「そういうことだ。とりあえず、出たい人ー、てーあーげホイ」

彼がそう言うと、瑠璃、灰簾、私、それと彼が同時に手を挙げた。

「決まりだな」

と、得意げに彼は言う。

するとまた、世界が暗転する。


そして今度出てきたのは、地平線まで星空が広がり、

地面は土ではなく、水の上に立っているような、そんな空間。

足を一歩踏み出すとそこから水の波紋が広がり、やがて消える。


(ここは…)

「ここは時と世界の狭間。君は生身の人間だから、あまりこんなとこには来ない方がいいよ」

声が聞こえた方を向くと、そこにはこの星空を集めたかのような黒い髪に、柘榴のような赤い瞳の少女が立っていた。


「ここは時と世界が交差する、そんな場所。だから君はここにいてはいけない。大丈夫、元の世界には送ってあげられるから、帰りのことは心配しなくていい。ここのことは君の記憶の中からは消させてもらうけど」

そんなことを矢継ぎ早に言う彼女。

「それじゃ、向こうに送るね」

彼女がそう言うと、私の足下に円が描かれ始めた。

「待って、あなたの名前は…!!」

円が完成する前に、そう叫ぶ。


「私は柘榴。多分忘れるだろうけど名前だけは教えてあげるよ」

丁度そこまでで円が完成してしまい、最後の一言だけ、聞き取ることは出来なかった。

「じゃあね、()()()()

「まさかお母さんが来るなんて、思ってなかったなぁ。どうやってここに来たんだろ。正規の方法ではないなぁ、どう考えても。正規の方法で来たのであれば、魂に強固なバリアが張られるからなぁ……。誰かに飛ばされてきたのかなぁ。……後でお母さんに聞いてみよう」

─とある少女の独り言

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