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とある一日_3

ナオトリ村にはコットンが目的にしている魚市場に向かう途中に中央広場がある。

村の中央を走る目抜通りのちょうど真ん中に位置するところにあり、

村人たちが集まり、賑わいのある広場である。

広場の真ん中には村の発展を進めた有名な村長の銅像が建っている。

中央広場を横切っている時、ふと先日の出来事を思い出した。

「そういや、先日の祝勝会で悩み事があるとか言ってなかったっけ?」

と、コットンに問いかけた。


先日の賑やかな祝勝会が終わりかけの頃、俺は一人カウンター席に座り

食後のフルーツジュースを味わっていた。

すると、隣の椅子にコットンが座り

「タロさん。少し話があるんだけど・・・」と、いつもの穏やかな喋り方とうって変わって、

真面目な口調で話し出した。

「話・・・?」

いつもの雰囲気と違うコットンにすこし身構えた。

「話・・・というか相談なんだけど。」

少し伏目がちにカウンターを見つめながら話だす。

「ちょっと最近困って・・・」

「タロさ〜〜〜ん!!!!」

コットンが相談事を話し始めたと同時にミアの叫び声が邪魔をする。

耳をつんざくミアの声でコットンの声が聞き取れなくなってしまった。


「ちょっ・・・ミア、今コットンと話して・・・」

「タロさん!タロさん!やべ〜よ!ジャムの腹踊りがキメーんだよ!!」

結局そのままミアがこちらにやってきて、馬鹿騒ぎを始めたので、

コットンの話を聞けずじまいになってしまったのだ。


「ミアが途中、話の腰をへし折った時の。」

「あ〜・・・あの時のね。」

あの日を思い出したのか苦笑いのコットン。

ちょうど中央広場を抜け、中央市場へとやってきていた。

休日とだけあって、多くの商人や客でごった返し、賑わっている。

コットンは少し歩くスピードを落とし、話始める。

「ひと月ほど前からかな。うちのお店に、近頃よく来てくださるお客様がいて・・・」

「お客さん。」

「うん。毎日のように来てくれるんだけど、

お店の席について料理の注文するたびに自己紹介をしてくるの。

次の日も次の日も注文をする時に『俺はなになにといって・・・』みたいに自己紹介を始めるの。」

「店に来るたびに記憶が消える人なのかな?」

「たぶんだけど、私の気を引きたいのかなって思う・・・でも、怖くて・・・。」

嫌悪の表情で身震いするコットン。確かに、会うたびに初対面みたいな対応されたら恐怖でしかない。

「で、そいつはなんていうヤツなんだ?」

「え〜と・・・たしか、『マルタイ騎士団のバーンズ』って言ってたかしら。」

「マルタイ騎士団って、ブルノー王国の王直属の騎士団じゃないか。」

「あの人、ブルノー王国の騎士様なの?」

「この辺では、かなりのエリートだぞ。」

「へぇ〜〜」

コットンが知らなかったと言わんばかりに感心していると

「そう!!私はエリートなのだ!!!」

と背後から神経に触るような大声が聞こえた。

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