表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/23

新たな世界_3

二つに分かれたレッドベアを見下ろしながら、

俺は大剣を地面に突き刺し、顔に掛かった生暖かい血を拭う。


「タロさ〜ん!」

後ろのほうからミアの声が聞こえてきた。

振り返ると、ミアとジャムがこちらに駆け寄ってきた。

「おいおい、あのレッドベアがこの有様かよ。」

ジャムは苦笑いを浮かべながら、魔獣を憐んでいる。


「お前さんの強さには、毎度毎度驚かされるな。」

「タロさん、スゴイを通り越してキモいよ。」

ミアの賞賛には若干の違和感を覚えたが、とりあえず素直に受け止めた。


さて、一連の出来事を見てもらったところで、

そろそろ自己紹介をしよう。


俺の名前は「タロ」

元の世界では、「松岡太郎」と呼ばれていた。

高校3年生だった俺は、創造主と呼ばれる女神様に、

突然ノルディアという異世界に転生された。


ノルディアには5つの大陸があり、5つの国がそれぞれの大陸に存在しているらしい。

その大陸の一つ、ラジアント大陸に真っ逆さまに落ちてきた。

初めて隕石の気分を味わえたので、創造主には感謝しかない。


空からふってきた俺を最初に発見したのが、

俺の横でレッドベアの素材がいくら程になるか値踏みしている「ミア」である。

突如、空から降ってきた俺を、爆笑しながら掘り起こしてくれた。

さらに、彼女の住んでいる村「カナイ村」まで案内してくた。


そんな降ってきたばかりで右も左もわからない俺を

優しく世話してくれたのが、カナイ村の村長「ジャム」である。

人相の悪さでは他の追随を許さないほどの強面の持ち主だが、

世話焼きで、優しく、誰とでも仲良くなれる男である。

彼に今の住まいも用意してもらい(家賃は払っている)、

この世界のしきたりや情勢などのイロハも教えてもらった。


この世界にやってきて3ヶ月ほど経ったが、

ミアとジャムは本当に家族のような関係になった。


そして、一番気になるのが、

先ほどご覧になった魔獣の討伐だろう。

「レッドベア」はこの世界では強敵の部類に入るだろう。

しかし、何故ただの高校生である自分がいとも簡単にを倒せたのか。


創造主である神様からいただいた「祝福」のおかげである。

この「ノルディア」という世界を生きていくうえでは

手に余るほどの「能力」を授けてくれた。

自分自身、この「強さ」がどの程度のものかはまだ把握していないが、

ジャムやミア、周りの村人の反応からすると、相当の「強さ」らしい。




では、俺のひととなりが分かっていただいた所で、話に戻ろうと思う。

「レッドベアなんて、どこから迷い込んだんだろうな」

ふと思いついた疑問を口に出す。

横にいたミアも腕を組みながら「う〜ん」と首をひねる。


「この辺りは比較的弱いモンスターしかいないはずなんだがな・・・」

ジャムは地面に膝をつけ、レッドベアを検視官よろしく細かく観察している。

が、何の収穫もなかったのか、立ち上がり

「ま、わからねえ事を考えたってしょうがねえ。

とりあえずタロ、よくやってくれた。報酬を渡してえから、あとで家まできてくれ。」

そういう言うと、ジャムは後片付けをするため、他の村民に指示を出し始めた。


作業の邪魔になりそうだったので、俺とミアはその場を後にした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ