久しぶりの仕事_1
皆さんこんにちは。タロです。
こちらの世界にやってきてはや半年。
最初は右も左もわからない俺に、ミアやジャムのような
親切な人達がこの世界のいろはを教えてくれた。
そしてカナイ村の人たちと共に暮らし始め、
どこのどいつかわからない謎だらけの俺を親身に助けてくれた。
こちらの世界で食べていくため、
俺は冒険者ギルドという組合にお世話になっている。
冒険者ギルドは世界各地に支部をもつ巨大な独立組織である。
ギルドに持ち込まれる依頼はさまざまで、
モンスターの討伐やアイテム・素材の採取納品、要人の護衛という仕事から、
揉め事の仲介、街の掃除などの仕事まで幅広く扱っている。
時には、戦争の傭兵として雇われる場合もある。
まず、冒険者ギルドに登録されると、その冒険者にはランクを与えられる。
初めはEランク。そこからD、C、B、Aと順に上がっていく。
そしてAランクの上には最上級のSランクが存在している。
この世界にも数人しか籍をおいていない雲の上のランクらしい。
ランクごとに仕事が割り振られており。
ランクが上がれば、おのずと難易度の高い仕事となる。
自分のランクの一つ上のランクまでの仕事なら受注ができるらしい。
なぜ冒険者ギルドの説明を長々としたかというと、
今日は冒険者ギルドに関するお話が始まるからである・・・
王都キャストレ。
ブルノー王国の政治、経済の中心地であり、
ブルノー国王がお住まいになられているキャストレ城がある。
都市の中央にはキャストレ城がそびえたち、
その周りに貴族、役人、騎士達の居住区域があり、
さらにその区域を囲むように市民達が生活を営む城下町がある。
とにかく馬鹿でかい都市である。
そして王都には今日の目的の場所である
冒険者ギルドの支部が置かれている。
そう、今日は久しぶりに冒険者としての仕事を勤しむため
カナイ村からはるばる王都までやってきたのである。
正門からまっすぐに伸びる中央道。
とにかく多くの人々で賑わう首都のメインストリートである。
市民たちはもちろん。行商人や、非番の騎士、警備中の兵士など
さまざまな人が活気良く活動している。
その中央道の一角に冒険者ギルド「ブルノー王国支部」が置かれている。
俺はさっそく冒険者ギルドの中へと入っていく。
入り口の先にはロビーがあり、真ん中には受付が置かれている。
受付の左右には大きな掲示板が掲げてあり、
依頼内容が書かれた紙が掲示板いっぱいに無造作に貼られている。
俺はまっすぐ受付のほうに歩いて行き、
机に向かって書類になにやら書き込んでいる女性に話しかける。
「リセルタさん、こんにちは。」
挨拶した俺には目もくれず作業を続けながら
「久しぶりね。」
と女性は冷めた声で応える。
作業がひと段落ついたのか、眼鏡の奥から鋭い目をこちらに向ける。
「一月半も顔をよこさないなんて冒険者の自覚はあるの?」
と辛辣な一言も添えてきた。
彼女はギルドの受付嬢であるリセルタさん。
すこしぶっきらぼうであるが、真面目で仕事のできるキャリアウーマンである。
とても整った顔をしているが、鋭い目がこちらに威圧感を与えている。
歳は俺より少し上だろう。若い女性である。




