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とある一日_5

「しかし、駆けつけてみたものの、その横にいる少年が荷物持ちというわけなんですかね?」

バーンズは俺が持っている買い物カゴを目にしながら苦々しく質問すると、

「あの〜・・・そうなんです。」

コットンは申し訳なさそうに答えた。

バーンズは俺の目を見つめ

「タロ君・・・荷物持ちをかけて勝負しないかね?」

「・・・は?」

突然の提案。意味がわからず咄嗟に聞き返してしまった。

荷物持ちなんて本来やりたい人はいないだろう。

「いやいや、荷物持ちやりたいんだったら喜んでお譲り・・・」

「タロさん!ちょっと待って!」

コットンが割ってはいる。

「タロさん。”荷物持ち”はタロさんに任せたはずよね?」

コットンが俺の袖を引っ張り笑顔で問いただしてきた。

そして笑顔の奥では「面倒はゴメンよ」と言っていた。

バーンズと関わるのは極力避けたいようだ。

「コットンさん!こんなひ弱な少年なんかより、

マルタイ騎士団副団長、このバーンズにお任せください!」

バーンズはどうしても荷物持ちを成し遂げたいようだ。

俺としてはバーンズさんにお任せしたいところだが、

コットンがバーンズとの関わりを拒んでいるようなので

「バーンズさん。申し訳ありませんけど荷物持ちはお譲りできません。」

と、お断りの意思を伝えた。

「・・・なに?君にコットンさんの荷物持ちが務まるのかね?」

バーンズは眉をひそめ、腰に携えている剣の柄に手をかける。

「ちょ、ちょっとバーンズさん!?」

慌てるコットンは思わず少し後ずさる。

バーンズは鞘から剣を抜き俺に向け、

「少年よ!コットンさんの荷物持ちを懸けて

いざ尋常に勝負!」

バーンズが構えた剣は、黄金に輝く片刃剣である。

成金が好みそうな無駄な装飾で埋め尽くされた刀身。

「コットン!下がって!」

コットンはバーンズを止めようとしていたが、聞く耳をもたないだろうと思ったのか

おとなしく後ろに下がった。

「いい度胸だな少年!この剣を拝んだ者で無事に帰れたものはいないのだよ。」

俺はその剣には目もくれず、辺りを見回す。

すぐ横で今までの一部始終を見ていたであろう男性が持っているものが目に入り、

「すみません!おやじさん!そのお玉ちょっと借りてもいいですか?」

「なに?このお玉を?」

その男性は屋台の大将であり、調理の最中だったのか、手にステンレス製のお玉を持っていた。

「よっしゃ!困ってるようだから使いな!!」

大将は気前よく承諾し、お玉をこちらに放ってくれた。

そのお玉を受け取ると剣のように構え、バーンズに向き直る。

「・・・バカにしているのかね?」

バーンズはこめかみに青筋を浮き立たせて質問する。

「すみません。ちょうど剣を持っていませんでして・・・」

「ちぇあーーーーーーーっ!!!!」

バーンズは俺の言葉を聞くや否や剣をひっくり返し、峰をこちら向けて打ち込んできた。

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