とある一日_4
驚いたコットンと俺は、何事かと思い振り返る。
そこには、ピカピカのシルバーメイルに真っ赤なマントを纏っている騎士がいた。
かの有名な『マルタイ騎士団』の紋章がマントに編み込まれており、風になびいている。
「驚かせてすまない!!」
後ろにいる騎士は驚いた俺たちを気遣ってか謝罪を述べた。
しかし俺の鼓膜を必要以上に震わせる大声は神経を逆撫でにする。
「は〜。びっくりしました。バーンズさん。」
「え、バーンズって・・・」
コットンの言葉に先ほど聞いた名前が入っていたので思わず騎士の顔を2度見した。
「なんということだ・・・コットンさん・・・覚えていてくれたんですね・・・」
バーンズと呼ばれた騎士は感無量と言わんばかりに、天を仰ぎ感動で震えていた。
「おや、コットンさん。横にいる冴えない男はどなたです?」
感動を終えたバーンズはこちらに訝しげな目をやり質問する。
「こちらはタロさん。カナイ村に住んでる冒険家さんです。」
「はじめまして。タロです。」
コットンの紹介の後に挨拶をした。
「冒険家・・・ふんっ。」と鼻で笑われた。
「バーンズさん。そんなバカにしなくても・・・」
コットンがすぐに注意すると
「いや違うんです!すまないねタロ君!!
私はブルノー王国、王直属騎士団『マルタイ騎士団』で
副団長を勤めているバーンズという者だ!!」
コットンに注意され、慌てて謝罪をしたバーンズは自己紹介と同時に
むりやり俺の手をとりぶんぶんと握手をかわした。
『ブルノー王国』。ラジアント大陸の半分ほどの領地を治めている王国。
マルタイ騎士団をはじめ、精鋭の騎士達が集まる騎士団を幾つも持ち、かなりの軍事大国らしい。
かつては隣の大陸にある『マーズ国』という大国と戦争に明け暮れていたそうだ。
ブルノー王国はカナイ村から一里ほど離れた場所にあり、馬車を使えば30分ほどで着く。
俺たちの住むカナイ村やナオトリ村もブルノー国の領地内にある幾つもの村のうちの一つになる。
「それで、バーンズさんがどうしてナオトリ村に?」
コットンが笑顔で質問すると
「いや、今日もコットンさんのお店に伺ったんですが、いらっしゃらなかったので
店主に何処にいるか尋ねたらナオトリ村に買い出しに出かけたと伺ったもので、
それならここは私の出番だろうと、コットンさんに重い荷物を持たせるわにけはいかないと
思い立ち、私の愛馬「マカロン」を走らせて馳せ参じたというわけなのであって、
決してコットンさんの後をつけているとか、そうゆうわけでは決してなくてですね・・・」
「怖い怖い。息継ぎを知らないのか。」
矢継ぎ早に事のいきさつを話し出すバーンズの口はマシンガンのごとく動いていたので、
思わず話の途中でツッコミをいれてしまった。
コットンも笑顔で聞いていたが、若干引いているのがわかる。




