6話「ずーーーーっと一緒に」
一カ月後、彼女の足の怪我が完治した。
「あのさ、リコ。話があるんだ」
「なに改まって?」
「俺はリコにここにいてほしいと思ってる!」
「いつまで?」
「ずっと!
ずっとずっとずーーーーっと!」
「なんだかプロポーズみたいね」
「うん、そのつもりなんだけど」
「えっ??」
俺の言った言葉の意味に気づいて、リコの顔が赤くなる。
つられて俺の顔にも熱が集まった。
「あ、あたし追われてる身だよ!」
「うん、何があっても絶対にリコのことをかくまうよ!」
「それに時々元の世界の話をして、コルトを困らせるし……」
「『女性の言ってることを男が理解するのは難しい。女性たちの言ってることは精霊や妖精の言葉だと思え』ってケンちゃんが言ってた」
「どういう意味?」
「生まれたところも育った環境も違う。
お互いに知らないことがあるのは当然だって意味だよ」
「ケンちゃんって?」
「俺の幼馴染、ケンちゃんの言ってることはだいたい正しい」
「だから、少しづつ相手のことを知っていけばいいんだよ!」
「そっか……」
「うん」
「…………」
リコの長い沈黙。
「チーズとお肉を毎日とは言わないけど、週に一回食べさせてくれならいいよ」
「うん。約束する!
チーズとお肉を週に一回食べさせられるように努力するよ!」
そうして俺はリコと結婚した。
リコは逃亡中だから結婚式は出来なかったけど。
一年後には長男のアビーも生まれて幸せな生活が続いたんだ。
「とりっ……! とりぃ……!」
リコに背負われたアビーが、木の上にいる鳥に手を伸ばしてる。
「アビーは鳥が好きだな」
「旦那様知ってる?
私の世界では羽がなくても乗り物に乗れば空を自由に飛べたのよ」
リコが生まれたのはここからとっても遠い異国の地。
リコのいた国は、この国よりずっと科学が進んでいたようだ。
「その乗り物の名前はね、飛行機……!
何百人もの人を乗せて、山を越え海を越え人や荷物を運ぶ魔法の乗り物なの!」
リコは目をキラキラさせて語った。
「俺もいつか見てみたいな、そんな空飛ぶ乗り物を」
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