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15話「お金が…………!」



コルトとアビーに再開して二週間が過ぎた。一月のある日。


あたしは大変なことに気づいてしまった。


「…………お金がない!」


コルトとアビーが来るとは思わなくて、年末年始はシフトをめいいっぱい入れてしまい、初詣にも行けなかった。


学校の方はレポートを全部提出したし、スクーリングの単位と課外授業の単位も足りているので、あとは三月に行われる卒業式に出席するだけだ。


一月七日を過ぎて仕事が一段落して一息ついたとき、財布と通帳を見て大変なことに気づいてしまったのだ。


そう……お金がないのだ。


ただでさえ一人暮らしでカツカツなところに、旦那様と幼い子がやってきてしまった。


二人と暮らせるのはとても嬉しいことだが、現実は厳しく、出ていくお金は増える一方だ……。


彼らはこの世界の人間ではない。故に戸籍も住民票も身分証もない。


働けるのはこの世界出身のあたしのみ。


アビーが作った次元を超える機械は、こちらの世界に来るときに故障してしまったらしい。


アビーが次元を超える機械を修理するまであちらの世界には戻れない。


あたしも三月に通信制の高校を卒業するから、それまではこちらの世界にいたい。


しかし生活費はかかる。


残業しまくっても二人を養える余裕はない。


どうしよう?? 親に泣きつく?


でもそうするとコルトとアビーのことを話さなくてはいけない。


両親にふたりのことをなんて説明すればいい??


両親に二人を紹介して、不法入国の外国人扱いされて警察に連れて行かれたら……!


最悪の場合、宇宙人と同じ扱いをされて解ぼ……そんなのだめーー!!


あたしがコルトとアビーを守らなくちゃ!


両親には異世界に旅立つ前にちょっとだけ二人に会わせて、さらさらっと異世界の事を説明して、警察とか宇宙人を研究してる施設の人とか呼ばれる前に元の世界に帰ろうと思ってる。


「これ以上シフトは入れられないし、そうなると仕事を掛け持ちするしか……」 


求人情報誌の水商売の求人が目にはいる。


水商売の時給の高さに心がぐらつく。


「あっ、そうか!

 どうせこの世界からいなくなるなら金融会社からお金を借りてトンズラしても……!

 いや、それはだめでしょう!

 人として!

 でも他に方法は……」


「あっ、母さん。

 宝くじで儲けたお金を母さんの銀行口座に振り込んでおいたから」


「ふぇ??」


いまアビーがとんでもないこと言わなかった?


「えっと……それはどういう??」


「年末に母さんにスマホ借りたことあったよね?」


「うん」


アビーがこの世界に来た次の日、アビーにあたしのスマートフォンを貸した。


アビーはこの世界のものが珍しいのね、という軽い気持ちで貸したんだけど……。


「母さんの名前で数字が当たる宝くじを買ったら一等が当たった。

 キャリーオーバーしてたから十億円が手に入った」


「ふぇぇぇえええ!?」


アビーは二週間前にこの世界に来たばかりよね?


なぜこの世界で生まれ育ったあたしより、この世界に順応してるの??


「過去のデータを分析すれば宝くじのあたり番号を予想するのなんか簡単だよ」


コルトの話ではアビーはあたしから聞いた話やあたしの描いた絵を元に、洗濯機、乾燥機、電気ポット、温度を感知して明かりが灯るライトなどを作り出していたそうだ……。


でも、それにしても………。


「やっぱりあたしの遺伝子って凄い!」


あたしは異世界で聖女として三年働いていた。


そのあたしの遺伝子を引いたアビーが天才でも不思議はない!


それとも異世界人と日本のハーフだから、アビーは天才なのかしら?


どっちでもいいわ!


あたしの息子は賢い!!


「母さんの名義でこのアパートの隣の部屋を借りて父さんの工房にしておいた。

 それから倉庫を借りて公園に隠しておいた次元を超える機械をしまった。

 それからインターネット通信販売で、次元を超える機械の修理に使う道具や部品を色々と買った。

 残りは母さんの通帳に振り込んでおいたから好きに使って」


年末年始忙しくて通帳記入に行けなかったから知らなかったけど……今あたしが手にしている通帳には大金が入っているのね!


「どうしたの母さん?」


「大金が振り込まれているとわかった瞬間、通帳を持つ手が震えて……」


小心者の庶民のチキンハートに大金の入った通帳は重い! 重すぎる!


「それから言い忘れてだけど、父さんが作った木彫りの置物をネット通販で売っておいた」


「コルトは天才的な芸術家だから凄い高値で売れたでしょう!」


あたしはコルトの創る木彫りの置物の一番のファンなのだ!


「一体一万円で売れたけど、経費を考えるとトントンかな」


「うん。まあ……最初はそんなもんだよ。

 芸術家は価値を理解されるのに時間がかかるし……」


コルトの才能は凄いんだから!


絶対超超有名な木彫師になるんだから!(※コルトの本職は木こりです)


「あれ? でも数字で番号を当てる宝くじで12月24日に売ってたかな?」


「そのへんは作者も詳しくないんだ。ふわっとさせとこう」









お金の心配がなくなってちょっとホッとした。


あとはアビーが次元を超える機械を直して、あたしが通信制の高校を卒業するだけね。


そうしたらまた異世界で三人で幸せに暮らせるね!


コルトが新しいペットを飼ったって言ってたし。


確か名前は、ケルベロス、ケットシー、雷竜らいりゅうだったかな?


……犬と猫とトカゲでも飼ったのかな?


彼らに会うのが今から楽しみ!





――リコ編・終わり――




※作中、アビーが数字を当てる宝くじで簡単に一等を当てている描写がありますが、この作品はフィクションです。

現実の宝くじの購入にはリスクが伴います。

これらのものに手を出すときはリスクをお考えの上、自己責任で購入してください。

この作品を読んで宝くじを購入し、大外れしたとしても、作者は一切の責任を負いません。あらかじめご了承ください。


※宝くじの購入は20歳以上です。作中で未成年が宝くじを購入していますがこの作品はフィクションです。



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