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初めての死に戻り

ちょっと興がのったので、書いてみました。

「はぁ、はぁ、なんで第2階層にオーガがいるんだよ!」


 必死に逃げるがまだまだ転移の間も第1階層への階段も見えてこない。そもそも俺はどっちに向かっている? 視界が酷く狭い。


「ヴォォオオオ!!」


 ヒッ! やばい! 奴の声だ! 逃げろ逃げろ逃げろ! 動け俺の脚、頼む!!


 ダンッ、ダンッ、ダンッ! と地面を蹴る音がダンジョンに響く。背後から空気の振動が伝わり、全身の毛が逆立った。オーガが来る──。


 ブンッ!


 しゃがみ込んだ上を力の塊が通過した。慌てて構えると、ニタニタと笑うオーガが俺の前に立っている。その左手には人間の頭が2つほど握られていた……。俺と同じような底辺冒険者だろう。


 どうする? 背中を見せて逃げても奴の方が間違いなく速い。あの余裕の表情は俺のことを舐めているに違いない。ならば、一か八か、俺の唯一の攻撃スキルを叩き込んで──。


「くらぇぇ!! 【強打】!!」


 バンッ! と飛んでいったのはオーガが盾にした冒険者の頭。ニヤけ面が更に歪む。


 カハッ!


 腹が熱い。口から変な音がする。力が身体から流れ出ていく……。ゆっくりとオーガの腕が俺から引き抜かれ──。


「ヴォォオオオ!!」


 身体から解放された視界がクルクルと回転した。どうやら頭が宙を舞っている。俺は妙に冷静な気分で自分の死を認めた。



#



 ヴォォオオオ!!


 遠くから叫び声が聞こえた。まさか死後の世界にまでオーガが追って来るとは思わなかった。辺りを見渡すと岩で出来た通路がほんのりと光っている。まるでダンジョンだな。クルセハ教の教えでは死んだら楽園に行ける筈だが……。


 鉄の剣を握る手の感覚は現実そのものだ。俺は死んだ筈じゃなかったのか? さっきのは夢? いや、そんな筈はない。一体何が起こっている!?


 ヴォォオオオ!!


 またオーガの声がした。もしこれが現実だとしたら、ぐずぐずしていられない。早く逃げないと……。しかし、さっき俺は腹を貫かれ首を刈られた。あの感覚も紛れもないな現実だった。


 そうだ! ギルドカードを見ればいい! 死んだらギルドカードの色は変わる。冒険者の魂と紐付けられたそれを見れば何か分かる筈!


 慌てて懐から取り出した金属製ギルドカードは、下級冒険者を示す銅色のままだ。冒険者の死を示す色──黒──ではない。つまり俺はまだ死んでない? それともこれは全て夢なのか? ってこのギルドカード、なんか変だぞ。


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 名前 :ヨナス

 性別 :男

 スキル:透視0 水生成3

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 スキル欄が違う! 俺の唯一の攻撃スキル、【強打】が【透視】なんてものに変わってる!! なんだよこれ、戦えないじゃないか!! どうしろっていうんだよ。


 ヴォォオオオ!!


 やばい! さっきより近い!! ここが死後の世界でも夢の中でも現実でも、もうさっきみたいな目に遭うのはごめんだ。なんでもいいから逃げるしかない。俺はオーガの声とは逆の方へ向かって走り始めた。

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