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お師匠様とカエデ

番外編と本編を交互にやります

分かりにくくてすいません⤵︎⤵︎

「ごめんね、カエデちゃん」そう“お師匠様”が言うと杖の先が赤く光り、何かがこっちに飛んでくる。避ける間もなく体に当たる。


当たった途端、弾け飛んだかのように後ろに飛ばされた。痛い。


連続して同じものが飛んでくる。当たる。当たる。当たる。当たる。当たる度に痛い思いをする。なんで?なんで私はこんな思いばかりしなくちゃいけないの?


「やめて、やめてください」私は声を絞り出して言う。


「やめて?やめてって言ってやめてくれる人がいると思う?今やめたら近い将来災いが起こる。カエデちゃん、アンタのせいでね。」“お師匠様”は冷たく私に言い放つ。


「私、何もしません!」声の限り叫ぶ。どうしても誤解を解きたかった。


「何もしないって、カエデちゃんは何もしないかもしれない。でも忌み子はいるだけで災いが起きるの。ずっとそうだった。今までも、これからも。ずっと………」


私は知った、忌み子とは何なのかを。この世界に存在してはいけない存在。本来この世界にいるはずのない存在。存在するだけで周りに迷惑のかかる生き物。それが忌み子。それが私。


「この世界にきてすぐなのに、フュエルさんとも全然話せてないのに……今度こそはまともな生活が出来ると思ったのに……」私は仰向けに倒れながら腕を目の上に置く。涙がこぼれ落ちる。


「ねぇ、忌み子の痕跡がどこにもないならカエデは忌み子じゃない!そうでしょ?村随一の魔法使い様が忌み子っぽいからって殺していいの?」突然フュエルさんが口を開けた。


「フュエ、アンタは知らないかもしれないけどね、アンタが産まれてくる前にも忌み子っぽい子が居たよ。カエデちゃんと似ていてステータスがおかしかった。確かに忌み子かもしれなかったけど殺すなんて出来なかった。優しかったし、とっても私に懐いてくれた。でも忌み子が来た日を境に村の状況は悪化した。まず村全体に水が行かなくなった。」


フュエルさんは口を開けたままぽかんとしていた。何か知っているのだろうか。


「その次に食料危機が起きた。知っての通り、王都からの道が閉ざされたのよ。更には日照りが続いた。おかげで農作物は育たなくなった。その異変に気づいた村長はその時急に来た子供が忌み子だと言い放った。皆からは出てけ、や、殺せ、の声が聞こえてきてね。村長が下した決断は“死刑”だった。」


「死刑執行人は誰がやるのか、と私は聞いた。すると村長はお前がやれって言うんだ。だから仕方なく殺した。殺した数日後には水不足も日照りも食糧危機も全て解決した。あの子は忌み子だった。」次第に“お師匠様”の声は低くなっていった。


「ねぇ、“お師匠様”は誰かの言いなりになって生きているの?」フュエルさんが話を聞いて言った。


「なんで、そんなわけないでしょ!」“お師匠様”は大きな声で反論する。


「だってそうじゃない?大切な子だったんでしょ?なのに村長の命令1つで殺すんだったら命令で動くだけの人間か、あるいはその子は大切じゃなかったのよ。」


「フュエ、あんたに何がわかるのよ!」


「わからない。“お師匠様”がどんな辛い生活を、どんなキツい選択を強いられて来たのかも分からない。でもね、私ならその子を連れて逃げる。遠い場所に逃げる!私ならそうする。」


その話を聞いて、私は今まで疑ってきたことを後悔した。フュエルさんは本当に優しい人だ。優しいなんてものじゃない。余計に涙が出る。


「フュエ、アンタ、本気で言ってるの?」“お師匠様”は静かでとても小さい声でそう言った。


「なら、フュエ、アンタも私に殺されなさい。」

杖の先が赤く光る。


杖の先にはフュエルさんがいた。

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