笑っていれば福が来ると信じていた。【1】
頑張りまっす
「はぁ、はぁ」土砂降りの雨の中、私は1人で路地裏を歩いていた。
靴を履いていないから足の裏がとても冷たい。服も1枚しか持ってないからとても寒い。寝る場所もない。お金もない。そんな絶望的な生活を送っていた。今の時刻は午前2時ぐらいだろう。時計はないがこの生活が長く続いているからか見なくてもわかるようになった。
でも私はそんな状況でも大好きだったお母さんが教えてくれた「笑う門には福来る」という言葉を信じて鼻歌を歌いながら歩いていた。
こんなにも絶望的な生活を送っていても笑ってさえいれば福が来てくれる。またお母さんに会えるかもしれない。そう信じていた。
お母さんはお父さんのせいで家を出ていった。お父さんは毎日のようにお酒を飲み、お母さんに暴力を奮っていた。更には仕事にも行かずに競馬で稼ごうとする毎日。お母さんが出ていってからは暴力の的は私に変わり、毎日のように殴られた。
辛かった。
この家にいたくなかった。
お母さんに会いたかった。
私はお父さんが寝ている隙を見計らって家を出た。お金はお父さんの財布から盗んだ。
1か月前の話だ。