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 ギルド内は重苦しい空気がゆっくりとゆっくりと広がりを見せている。不安は簡単に人へ伝染していき、そこにはもう冒険者を目指す少年への期待の眼差しはごくわずかとなっていた。

 

 そんな中、僕は依然クリスタルに対しあるのか定かではない魔力を込め続ける。

 もちろん反応などありはしないが、そこにあるのは微かに残る僕の意地だった。

 

 


 周りの重圧は時間感覚を麻痺させていき、あれからどのくらい経ったのかも分からない。しかし強く握りしめた拳がゆっくりと開きそこからクリスタルが零れ落ちる。

 歪なクリスタルは手のひらを数か所切り裂きそこから数滴血が垂らした。それはクリスタルを応用にして一直線に落ちていった。

  

 すると一瞬にしてクリスタルは赤い光を放ちギルド全体にでかでかと恥じることなくこう記した。



  ≪村人A≫

  

  ステータス ALL  0

  


 村人AかそれにALL0って・・・

 自然と笑いがあふれてしまう。凡人だと自分を揶揄するのにずっと使っていた言葉がこんなところにもあるなんて笑わずにはいられなかった。


 凡人は転生しても凡人だ。そう簡単に変われるなんて世界はそんなに優しくない。

 決意した意志は脆く些細なことで折れてしまいそうになる。だけど、それでいいじゃないか。無様に地を這って冒険者やったやる。


 この世界に来て何度目かの決意を胸にする。


 

 「村人A」とささやく声が至る所から聞こえてくる。

 しかしその声色は決して侮蔑でも落胆でもなかった。


 「あんな職業みたことも聞いたこともねえよ!しかもALL0って、やっぱりあいつは何かあるんじゃないかっ!」


 どこからかそんな声が届いた。

 重苦しい空気は気づけば消え、少年の様なまなざしが再びギルド内を包んでいる。


 「あの聖女様、これっていったい・・・」


 「まだ未熟な私でも多くの街を巡ってたくさんの冒険者の誕生を見守ってきましたが、このようなものには出会ったことがありません。何も説明できず申し訳ありません」


 深々と頭を下げる聖女様は、ただ・・と続ける


 「クリスタルが示すものに間違いは絶対にありません。ということは、貴方には何か他とは違うことだけは確かです。それが良い啓示なのであればよいのですが・・・」


 語尾がゆっくりと小さくなっている様をみると、否が応でも自分の道は楽な選択肢はないのだと痛感した。




 あの出来事から一か月が経った。

 今日僕はこの村から旅立つ。


 僕は聖女様の勧めもあり一度王都に向かうことにした。聖堂協会にある大結晶(クリスタリア)でより詳しい僕のことを知ることになる。


 「ハヤト。道中気を付けていくんだぞ!困ったことがあったらすぐに帰って来てもええんじゃぞ」


 村長は涙ぐみながら僕の肩を強くたたく。


 出発までのこの日々はものすごく目まぐるしく進んだ。

 冒険者として必須な剣術をはじめ、様々な知識やこの国の歴史といった常識部分を徹底的に叩き込まれた。

 何も知らない僕を本当に王都から来たのか疑う声がちらほらと浮かんでいたが、それを追求される時間もないほど過酷だった。

 

 麻で編まれた服を羽織って農作業をしていた自分はいない、今では全身を覆う鎖帷子(くさりかたびら)が見て目だけでも強さを放っている。


 「じゃ、行ってきます」


 村の多くの人が見送りに来てる中、一歩、重い一歩を踏み出した。

 

 

1か月間の猛特訓の日々はサブストーリーとして後日投稿します!

多くの人に読んでほしいので感想、評価、拡散よろしくお願いします。


追記 最近キングダムが面白いです。ハヤトも信みたいに強くなってほしい。特に精神的に

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