村人Aとしての覚悟
こんにちは作者です。
今朝がた村長に言われた『冒険者に興味はないかね?』あのセリフが頭から離れない。
異世界に来てから半年、冒険者になろうと思った回数は数知れない。でもその度、僕には何もないと諦めてきた。人から与えられたモノをこなすことでしか充実を味わえない僕にはこの世界で出来る事と言うなら、この村で村人Aとして人生を全うするぐらいだ。
僕だって『神からのギフト』だったり、『ユニークスキル』なんかがあれば冒険者になる決心も付いたかもしれないけれど、この村じゃ冒険者になってもと言い訳をしてしまう。
いつまでたっても時空を超えても僕は僕のままだった。
2日たった昼下がり、お昼を食べに定食屋に立ちよった。
「おばちゃん、いつもの~」
厨房で忙しなく調理しているthe食堂のおばちゃんに声掛けし、店内奥の2人掛けテーブルに座る。数分後おなかの虫を踊らさるほどの匂いを引っさげた親子丼が来た。
「ハイお待たせ、ハヤト君専用オヤコドンね!」
「ありがとうおばちゃん!あと、これ」
そう手渡したのは通貨代わりの野菜。本日はキャベツっぽい野菜である。
「あら、こんな立派なの3玉も貰っちゃっていいのかしら」
「いいのいいの、どうせ僕と村長の2人じゃ余っちゃうからね。ほらお客さん来たよ」
「お言葉に甘えて沢山いただいときますね」
おばちゃんはそういうといそいそと仕事に戻っていった。
芳醇な香りを潤沢に楽しんだ後、コップいっぱいの水を一気に飲み干し店を後にする。
次の目的地に向かう途中で「ごちそうさま」を言い忘れたことを思い出したが、焦る気持ちはそれらを置いて目的へと急がした。
ここは村中央にある冒険者ギルド。ほとんどの役割は教会のそれと変わりないが、正面玄関をくぐるとそこには依頼書が張り出された掲示板が鎮座している。
隣村や少し離れた町周辺の魔物討伐の依頼書が複数張り出されているが、それらを引きはがすものはもちろんいない。今日までは・・・
そう、今日はなんて言っても冒険者になりに来たのだから。
野菜のおすそ分けでも、村長の代わりに王都への現状報告の手紙を出しに来たわけではない。
「すみません、冒険者になりたいのですが窓口はここであってますか?」
村長に頼まれたからなるわけじゃない、僕自身が変わるために冒険者になるんだ!
ここから村人Aの英雄譚が始まるんだ!
「あのぉ、受付窓口逆です。。。」
再度こんにちは作者です。
次回は空白2日間について書いていきます。
なぜ村長は突然村人A(僕)に冒険者に興味あるか聞いたんでしょうか。。。