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神の箱庭の守り人  作者: 白山 銀四郎
自分の神様
1/19

箱庭に迎えられる少年

 ここは 「主神アイテール」 が争いばかりする神々に辟易し世界を9つに分けた世界。

 主神が9体の神々にそれぞれの世界を与えたことで、領域争いをやめた神々は不可侵であると“箱庭協定”を締結し、神々に平穏が訪れた。

 

 しかし、1つの世界では問題が発生した。今まではアイテールが神の力を世界に送り込み世界を回してきたが、これからは神々1体1体が行わなくてはならない。神々の1体である 「破壊と力の神」 は強大な力を持つがそれをコントロールする力は皆無。どんどんと力が弱くなる世界にアイテールに助言を求めた 「破壊と力の神」 はある方法で世界に力を伝えることに成功したのだった。



 その世界とは別の空間に存在する地球にはいろいろな国があり、多くの人々が生活を営んでいた。

 メロディチャイムが夕暮れに染まる街に17時を知らせる。とぼとぼと黒いランドセルを背負い夕暮れの太陽をバックに重い足を進める影が真っ直ぐ橋に伸びる。その影を追い抜くように小さな影が通り過ぎた。弘也は追い抜く影に足を止めて顔を上げた。

  「何してんだよ! うんこ野郎」

 「春樹さん」

 「持てよな」

投げるように渡される青いランドセルを落とさないように慌てて受け取り、弘也は頷いた。投げた少年は弘也の叔父の息子で2歳年下だ。しかし、弘也はその年下の従弟より小さくて細い。弘也は弱そうな体で、軽くはないランドセルを持ち直そうと身を捩る。

 その時、シャツからネックレスが顔をのぞかせた。夕暮れに光るネックレスに気が付いた少年は弘也に近づくとネックレスに手を伸ばした。


  「さわるな!」

いつもなら抵抗しない弘也が抵抗したことに驚き固まるがすぐに少年は怒り、弘也を地面に突き飛ばすとネックレスを奪い取った。

 「返せ!」

少年は目を見開き怒りをあらわに自分を見る弘也に怖いと感じたが、何もできないとすぐに馬鹿にした顔で弘也を見下ろす。そしてネックレスを人差し指でくるくる回して、にやにやと性格の悪い顔を弘也に浮かべた。

  「返せ!」

それでも変わらずにらみつける弘也に少年はやけくそになり、ネックレスを投げ飛ばした。宙を舞う2つのリングに弘也は迷うことなく飛びついた。飛びついた先に待ち構えるのは、底が見えない濁流の川。掴んだリングを握り絞め、弘也は濁流にのみ込まれ、この世界から姿を消した。


 時々神は気まぐれを起こす。自分勝手に物事を決め、自分勝手に行動する。山下弘也は気まぐれな神に運よく見初められ世界を渡るのだった。

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