最後の花火
勢いよく放たれた火花が、闇を切り裂く。
きみの描く魔法が、夜を照らしていた。
くるくると軌跡を描き、踊る。
その姿に思わず見とれた。
「絶対、あそこへ行く!」
そう言って、きみは天を指さした。
雲の切れ間に輝く星々が、その瞳を煌めかせていた。
その輝きがあまりに眩しくて、目が眩んだ。
遠い場所。
学のないぼくにはわからないけれど。
徐々に勢いを弱めた炎が、最後に一瞬大きな輝きを以って消えた。
いつからだろう。
約束をしたわけではない。
いつからか、毎年訪れるこの季節は、きみとこうして過ごすのが当たり前になっていた。
寂しさは消えない。
想いは重荷になるだろう。
だから、想いは噛みしめて。
背中を押す。
きみの夢が叶うようにと。