プロローグ
プロローグ
時は2110年。昔、人類が考えていた『近未来』と呼ばれるような時代になった。そこまでは変わってないが。
昔からロボットはいた。人間の手伝いのためにいた。
でも、変わってしまった。思い返せば、10年前。
2100年。22世紀に変わった日だった。日本と呼ばれている国の中も段々と変わり、政府の仕組みも変わり、たくさんのことが変わった。2000年、100年前とは変わっていることばかりだった。しかし、日本の誇るべき伝統は変わらず残っていた。消えてしまったものもあったが。
残っていた伝統のひとつ、元旦。日本中の者がめでたく新年をお祝いしていた。酒を飲み、おせちをこたつで囲み、親戚たちと語らう。子供たちは大人からもらったお年玉の額をこっそり覗き、喜んだり落胆したり。
そんなとき、お正月特番を横目に騒いでいたお茶の間を沈黙させる音が鳴る。昔から地震速報が多い日本はどうしてもこの音を聞くと見てしまうのだ。特番が流れている液晶の上の方に緊急速報が入る。
こんなめでたい時になんだ、と皆は一様にテレビを見つめた。
それは政府が発表したあるニュースだった。
『緊急速報 政府が日本も本格的にロボットを導入することを発表』
むしろ、こうなるのが日本は遅かった方だ。イギリスやアメリカを始め、ほとんどの国にはもうスーパーには店員はいない。商品を陳列するのも、商品を作るのも、レジで会計をするのもロボットだ。しかし、日本にはまだ試験的にしか導入されていない。 いつかはこうなるのはわかってたことだ。液晶をじっと見つめていた者たちも、何だ大したことないじゃないか、そう思い、呑むわ食うわのどんちゃん騒ぎに戻っていった。
その発表がされてから少しずつスーパーなどの店からは店員が消えた。普通は手の届かないような値段だった家庭用ロボットも値段が下がり、家事をするのはロボットに変わった。介護や看護するのもロボットになった。人間が楽に暮らせる世の中になった。誰もがそう思っていた。
そんな甘い時間は長くは続かなかった。
半年が過ぎた頃か。日本のロボットは基本的に日本政府が管理していたのだが、それが何者かにハッキングされたのだ。
ロボットは暴走し、人間の命を受けるはずが、人間に命令するようになった。
人間は我らのために働け、娯楽はするな、逆らうな。カタコトの言葉でそう、全てのロボットが話した。普通はここで人間は反発するだろう。
でも、それは出来る状況じゃなかった。あらゆる凶器を持ってロボットは言った。脅迫と言うべきであろう。
気づけば、人間とロボットの立ち位置は逆転していた。人間が働き、ロボットが楽する。
人間が利用するために発明したロボット、そしてその知能は逆に利用されることとなった。
ハッキングの犯人は見つからなかった。見つける暇がなかった。何故なら、全ての日本人がロボットに労働を強いられていたから。
「なあ、どうするんだよ」
「どうするっつたって、やるしかないだろ」
「はあ?本気かよ」
「本気だよ」
「だって、無理だろ?監視カメラはもうあいつらの手の中だ。変な動きしたらすぐに捕まって……どうなるやら」
ロボットに命じられた労働の旁、こそこそと話している男二人。
『ナニヲシテイル。ハヤクテヲウゴカセ』
「わかってます!大丈夫です!」
『ナラヨイ』
目を赤く光らせて男たちを見ていたロボットは、目を緑に戻し、また見回りに行った。
「やるしかないだろ」
「でも、どうやって?」
「聞け。俺がハッキングして、この世界にしちまったんだ。責任は俺にある」
初投稿させていただきました。
はっ!と思いついたものをささーと書いただけなので、どうかな……。
続くと思います。




