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大機械都市『ラギオン』

ゴロゴロゴロゴロゴロゴロドンッ!!

黒い雲から雷が落ちた。雷は二匹の機械犬と黄金のタコを直撃する。

「キエェェェェェェエ!」機械犬は叫び声を上げた。次第に赤く光る目が薄くなり、絶命した。

「どうして雷が落ちたの!?」沙知は驚きを隠しきれない。

「さっき話しただろ?あれだよ」

「え!?じゃあ、この一瞬の出来事の間に涼吾は意識の世界に行っていたの?」

「まぁな。信じられないかもしれないけどな。とにかく、タコの生存確認だけしよう。気を付けろよ、もしかしたら機械犬が復活するかもしれない」

「うん、分かった」

二人は岩場から出て、恐る恐るタコに近づく。雷が落ちた後から、タコは微動だにしない。

「お、おい、さっき俺に助けを求めたのはお前なのか?」

返事がない。

すると、突然黄金のタコが小刻みに揺れ始めた。そして、タコは周りに電気を纏い、少し膨張している。

「ね、ねぇ涼吾、このタコ大きくなってない?しかも、ビリビリしてるし…」

「お前は岩場に隠れてろ。何が起こるかわからないからな」沙知は岩場に身を隠す。その間にも、黄金のタコは帯電しながら膨張する。

ビリビリッビリビリッビリビリッ、ドドドドドドド

タコに溜められた電気が一気に放出する。

「ギャャャャャャャャャャャヤヤヤ」

涼吾は放出された電気に巻き込まれ、その場に立ち尽くす。

「涼吾!」沙知が急いで近づく。

「涼吾、大丈夫?」

「あ、ああ、何だかわからんが生きてる…」

電気を放出したのと同時にタコはどんどん縮んでいく。

「助けてくれてありがとう!」黄金のタコは何事も無かったかのように感謝を述べる。

「涼吾、君は僕の声を拾ってくれたんだね」

「おい、タコ、何してくれてんだ。恩を仇で返しやがって」涼吾はタコの頭を鷲掴みにする。

「ちょっと、落ち着こう。僕は属性耐性があるんだ。さっき、雷を吸収して帯電しちゃったんだ」

「涼吾、離してあげなよ。可哀想でしょ。動物愛護法に違反するよ」

「どうぶつあいごほう?何のことだい?」

「あ、ここは異世界だったわね」

「君たちは違う世界から来たんだよね?」

「どうして知ってるの?」

「涼吾も沙知も違う世界から来たんだろう?」

「そう言えば、なんでお前は俺たちの名前を知ってるんだ?」

「私が涼吾の名前を呼んだからじゃない?」

「確かにな。でも、俺はお前の名前を呼んでない。俺の名前は分かっても、お前の名前まではわからないだろ」

「僕は、君たちがこの世界に来る前から知ってたよ」

「え!?私はあなたを見るのは初めてだよ。それに、こんな世界来たことない」

「違うよ。君たちは…」

「お前が呼んだんだろ?」涼吾は遮るように言った。

「察しがいいね。流石だよ」

「どういうこと?」

「学校の屋上で雷に打たれた時、白い光の中にタコを見たんだ。あれはお前だったのか?」

「そうだよ」

「なんで、俺たちを呼んだんだ?」

「僕が呼んだのは涼吾だけだったが、近くに沙知も居たからね。一緒に巻き込まれたんだね」

「じゃあ、沙知は関係ない。沙知だけでも、現実世界に戻せないのか?」

「それは叶わないよ。何度も現実世界との扉を開くのは、この世界にとっても君たちの世界にとってもよくない。世界のバランスが崩れるんだ」

「お前が勝手に呼んだんだろが」

「それは本当に申し訳ないと思っているよ。でも、君の力が必要なんだ」

「どうしてだよ?」

「今、君たちがいるのは大機械都市『ラギオン』領の大草原だよ!」

「機械都市!?」

「そうだよ。大機械都市『ラギオン』は、全てが機械化された都市だ。この機械犬も『ラギオン』で開発されたモンスターだよ」

「俺の質問の答えにはなってないな。どうして、俺をここに連れて来たんだ?」

「そうだったね。君を連れて来たのは、僕の国を助けて欲しいからだよ」

「お前の国を?」

「うん。君のその力で、僕の国を助けて!」

「ねぇ、ちょっと待ってよ。私は雷に巻き込まれてこの世界に飛ばされたって言ったよね?」

「その通りだよ」

「だったら、琴音ちゃんは?あの子も一緒に居たから巻き込まれているはずだよ!」

「僕は知らないな。あっ!?」

「何か知ってるの?」

「僕が機械犬から逃げている時に、君たち以外にもう一つ光が落ちて来たような気がするよ」

「それはどこ!?」

「確か、『ラギオン』の近くだったかな?」

「そんな!?」

「君たちの友達だったのかい?だとしたらまずいよ。『ラギオン』で開発されたモンスターは、敵だと判断したら襲いかかって来るんだ。異世界の人間だとしれたら、何をされるかわからない」

「じゃあ、直ぐに案内して!」

「僕の国を救ってからだ」

「お前は俺の力が必要なんだろ?」

「そうだね」

「だったら、琴音を助けるのが先だ。でなければ、お前の国を助けるために力を貸すつもりはない」

「……わかったよ。でも、『ラギオン』はとても危険だよ。また機械犬に見つかったら…」

「見つからなければいいんだろ?俺たちも戦う気なんてそもそもない。琴音を助けたら直ぐに脱出する。それでいいな?」

「僕に拒否権はないよ。君の力が必要だからね」

「交渉成立だ。取り敢えず、案内してくれ」

「ねぇ、そう言えば君の名前はなんて言うの?」

「僕は、リーブルだよ。涼吾、沙知よろしくね」

涼吾たちは、琴音を助けるために大機械都市『ラギオン』に潜入する。







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