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白い光

次の日、涼吾が久しぶりに教室へ行くと、昨日の事故について既に話題になっていた。

「あ!高屋敷くん!」木崎琴音が寄ってくる。

「あ、えっと…琴音、木下琴音だっけ?」

「あー、惜しい。下は合ってるんだけどね。木崎よ」

「あ、そうだったな。木崎さん」

「琴音でいいよ。そっちの方を覚えてくれたなら」

「わかった」

「ところで、沙知は一緒じゃないの?」

「なんで?」

「珍しく来たから、沙知が連れて来たのかなって」

「いや、今日は気が向いただけさ」

「よかった。どんな理由でも高屋敷くんが来てくれて」

教室は少しざわついている。

「ま、あんま歓迎されてないようだけどな」

「それは高屋敷くんが来なかったからだよ。甘んじて受け入れなさい」

「どうでもいいけど」

すると、沙知がやって来た。

「涼吾!なんであんた先に行ってんのよ!」

「あ?別に約束なんてしてないだろ」

「折角、連れ出してやろうと思ったのに、まさか自分から教室に行くなんて思わなかった」

「たまに来てるだろ」

「そうだっけ?居ても居なくてもわかんないでしょうが」

「はいはい」

「まぁまぁ、沙知、落ち着きなよ。来てくれたんだからいいじゃない」

「琴音ちゃんは甘いよ。こいつには痛い目にあってもらわないと私の気が済まないわ。徹夜して勉強してもいつも中間くらいの順位なのに、こいつときたら授業に出てないくせにトップだなんて許さん!」

「個人的な恨みじゃない?それ」琴音は苦笑いしている。

「いいの。琴音ちゃんだっていつもこいつのせいでテストの順位二位なんでしょ?」

「高屋敷くんのせいじゃないよ。私の勉強不足が原因だよ」

「琴音ちゃんは本当にいい子だね。嫁に欲しい」

「それはちょっと…」

「沙知、もうそろそろ先生来るぞ。席に戻ったらどうだ?」

「あんたに言われなくても、わかってるわよ」

「本当に二人は仲がいいんだね」

「どこが!」

「どこが!」

「あらあら」

鐘が鳴り、沙知は自分の席に戻って行った。少しすると担任の先生がやって来て、出席確認をする。

「えー、出席とるぞ。安藤」

「はい」

「伊藤」

「はい」

「………………高屋敷!は欠席だよな」

「先生!高屋敷くんは来ています!」

「木崎、そんな冗談は…ほぇ!?高屋敷じゃないか!」

「ちっす」

「昨日の説教がそんなに効いたのか。先生嬉しいぞ」

「いや、違いますから…」

「まぁ、どっちでもいい。今日は雷でも落ちるかもな!」先生は笑いながら言う。

「雨も降ってないのにそんなわけあるかよ」涼吾は小言を言う。

一限と二限が終わり、沙知は涼吾と琴音を誘って昼食を食べる。

「やっぱ屋上は最高だな」

「あんたはいつも授業サボってここにいるじゃない」

「だからだよ。俺にとって聖域みたいなもんだしな」

「なーにが聖域よ」

「沙知も高屋敷くんも、すぐに喧嘩しないの」

「琴音ちゃんはお母さんみたいだね」

「そんなことないよ。二人を見てると微笑ましいね」

「え、そう?でも、こいつ本当にいけすかない奴だよ?」

「そうかな?高屋敷くんは、ちょっと捻くれているだけですごい人だと思うよ」

「フォローだよな?」

「え?なってなかった?」

「いや、大丈夫だ」

そんな話をしていると、空模様が怪しくなってきた。

「あれ?今日は雨の予報なんてなかったんだけどなー」

「案外、先生の言ってたこと当たってるかもね。涼吾が学校に来るから雷になるのよ」

「学校に来いって言っておいて、来たら雷になるからって、俺はどうすればいいんだよ」

ピカッ ゴロゴロ

遠くの方で雷が光った。

「キャッ!」琴音が涼吾にしがみつく。

「大丈夫か?もしかして雷苦手?」

「あ、ごめんね。昔から雷は怖くて」

「ちょっと、あんた何してんの?琴音ちゃんから離れてよ」

「いや、不可抗力だろ」

今度は近くで光った。

ピカッ ゴロゴロ

「校舎の中に入ろう」急いで弁当をしまい校舎に入ろうとした時、涼吾の真上で大きな音がした。

ゴロゴロゴロゴロゴロゴロ

その時、涼吾は光るタコのようなものを見た。目の前に白い光が広がり、意識が遠のいた。



「…ご、…うご、…涼吾!」

涼吾が目を開けると、泣きながら涼吾の名前を呼ぶ沙知が居た。

「涼吾!涼吾!」

「うるさい。今気付いたんだよ」

「もう、心配したよ!」

「悪い。俺はどうなったんだ?なんか、白い光が広がって…あ!雷に打たれたのか!」

「それどころじゃないよ」

「え?」

「周りを見て」

沙知に言われるがままに周りを見渡すと、そこには大平原が広がっていた。

「どこだよ、ここ」

「気が付いたらここにいたんだよ。学校もないし、琴音ちゃんも居ない…」

格好は制服だ。

「俺たちはどこかに飛ばされたのか?」

「そんな!ゲームじゃないんだから、そんなこと…」

「だけど、学校の近くにこんな大草原なんてないし、なんか普通の世界じゃないような気がする」

「嘘だよ!私たちは普通の学校生活を過ごしてただけなんだよ?」沙知は状況を受け入れられていないようだ。

「わかってる。俺だって、まだ混乱してるんだ…でも、分かるかもしれない」

「分かるって、何が?」

「実は不思議な体験をするのはこれが初めてじゃないんだ」

「えっ!?」







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