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心からの願い

「俺は気を失ったのか…?沙知は!?」

涼吾の周りは闇に包まれていた。目の前で起きる衝撃の事実に絶望していると、

「ククク…ククク…ククク…」笑い声がする。

「誰だ!何がおかしい!?」

「ククク…ククク…」また、笑い声が聞こえる。

「隠れてないで出てきたらどうなんだ?ここはどこだ?」

「ククク…ここは意識の世界。そう、お前の意識の中だ」

「何を言っている?意識の世界だと?」

「そうだ。お前に内在する意識の世界さ」

薄っすらと輪郭が浮かび上がる。

「誰なんだ、お前は?」

「お前の意識の化身さ」

「言っている意味がわからない。意識の化身だと?」

「お前が理解しようとしまいがそうなのだ。私はお前の意識を具現化したもの」

「わかった。現実離れした状況だってことが分かればいい」

「ふむ、思ったより飲み込みが早いのだな」

目の前に道化師のような格好をした不気味な人が現れた。

「それがお前の姿か?人…なのか?」

「私はお前の意識の化身。この意識の世界でしか存在できない」

「なぜ俺は意識の世界とやらにいるんだ?早く、帰してくれ。トラックが交差点に突っ込もうとしているんだ!沙知が轢かれてしまう!」

「ククク…」

「何を笑ってる!?」

「彼女はこのままトラックに轢かれて死ぬよ」

「お前!適当なこと言うな!」

「これは運命だ。彼女はここで命を落とす運命なんだよ」

「ふざけんな!運命だなんて俺は信じない」

「お前が信じようと信じまいと、彼女はこのまま轢かれるのさ」

「ありえない…俺は…」

「可哀想に…お前が気付かぬ故に彼女はこのまま死んでしまうのか」

「どう言う意味だよ!?」

「お前は自分の力に気付いていない。お前なら変えられるかもしれないのに。ククク…」

「俺ならって、どういうことだよ?」

「お前が彼女を本当に救いたいと思っているなら、見えてるはずなんだけどな。ククク…」

「教えてくれ!俺はどうすればいいんだ?」

「願え。心から彼女を救いたいと願え」

涼吾は沙知のことを思い浮かべ、心から彼女を救いたいと願った。すると、目の前に文字が現れた。


『ブレイク・ザ・デスティニー』


「なんだ…これ。運命を壊せ、どういうことなんだ」

「それはお前次第だ。お前には決められた運命を変える力がある」

「俺が運命を?」

「彼女が死ぬ、という運命を変えたいのならば自ずと答えは見えてくるはずだ。考えろ。そして、導き出せ」そういうと、意識の化身は闇の中へ消えていった。

「おい、待てよ。何を導き出すんだ」

化身の声は聞こえない。

「クソ!どういうことだよ…」

涼吾は深呼吸をする。

「落ち着け。たしか、さっきは沙知を助けたいって願ったら文字が見えた。もしかしたら、もう既に何かあるのかもしれない」

周りを見渡す。すると、足下に一枚の紙が落ちていた。


『8.5 10.3 11.2 4.2 moon』


「なんだよ、これ」

考えていると突然、目の前に時間が現れた。時間は五分からどんどん減っている。

「時間?もしかして、タイムリミットがあるのか?そうだとすると、迷っている時間はないな」

涼吾は紙に書かれた文字を見返す。

「数字が並んでるな。文字は…月?どう関係あるんだ」

時間は刻々と流れる。既に一分が経過している。

「数字と月…この月はmoonではなくmonthの方かもしれないな。だとすると、8月5日、10月3日、11月2日、4月2日…祝日でもないか」

タイムリミットは三分を切った。

「落ち着け、焦ったらダメだ。いろんな方向から考えるんだ。それぞれの日に何か共通するものはあったか…?全然思い付かない。多分、これは違うな」

時間を見ると、時間はさらに一分を刻んでいた。

「あと、二分しかない。考えろ俺。moonはmonthを意味していることには間違いない。しかし、わざわざ英語で書かれている…もしかしたら、英語が関係しているのか?8月はAugust、10月はOctober、11月はNovember、4月はAprilだから…」

間も無く時間は一分を切ろうとしていた。

「そうか!文字数かもしれない。8.5 10.3 11.2 4.2、つまり、8月の五文字目はsだ。てことは、10月の三文字目はt、11月の二文字目はo、4月の二文字目はp。STOP?これが正解なのか…?」

時間を見ると、残り時間は十秒を切っていた。

「やばい、時間がない。俺は沙知を助けたい!答えは、STOPだ!」



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