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大機械都市『ラギオン』奪還編6

「なぁ、これどうやって城の中に入るんだ?」

「どっかに入り口があるんでしょ」

「なんかおかしい。普通、正面に入り口があるはずたろ?」

「確かに、そうだね。でも、機械兵たちもこの門から城の敷地に入るはずだから、絶対にどっかにあると思うけどね」

「私もリーブルと同じ意見。扉が消えるわけじゃあるまいし、入り口がないはずないよ」

「扉が消える?」

「どうしたの?」

「まずい!逃げるぞ!」

「え、どうしてよ?」

「俺らの存在がバレてるからだよ!」

「えっ!?」

涼吾が急いで門の方へ走ると、地面が開き、涼吾と沙知とリーブルは穴の中に落ちて行く。

「嘘だろ!?」

「きゃぁぁあ」

「お、おい、リーブル」

「なんだい、涼吾?僕もやばいんだけど」

「嘘付け。お前は着地できるだろ。思いっきり空気を吸ってくれ、すぐに!」

「わかった!」リーブルは大きく息を吸う。

スゥゥゥゥ

リーブルは大きな風船のようになった。涼吾と沙知はその上へ落ちる。

「リーブル、助かったぜ」

「リーブルの頭柔らかいね」

「沙知、あまり触らないでくれよ、くすぐったいだろう」

「ああ、ごめん」

リーブルは地面に着地すると、息を吐く。小さな空間に突風が吹いたようになる。

「さぁ、どうするんだい?」

「とにかくここを出ないとな」

「でも、真っ暗で何も見えないよ」

「沙知、大丈夫か?」

「う、うん」

「キュ!」

「キュ?」

「私、今何か踏んだような…」

「沙知、足をどかしてくれないかな?痛いよ」

「あ、リーブルだったの?ごめんね」

「お前、そんな鳴き方すんの?」

「いいじゃない、そのくらい」

「別に否定してるわけじゃない。とにかくここから出るぞ」

「でも、何も見えない」

「そうだな。リーブル、帯電できるか?」

「できるよ」

「じゃあ、頼む。少しでいいからな。あと、放電はするなよ」

「分かったよ。放電は外に出てからするよ」

リーブルは身体に力を入れ、帯電する。

ビリ、ビリ、ビリ

「これで少しは明るくなったかな?」

「ああ、助かる」

「ねぇ、涼吾、こっちに道があるよ」

「見る限り、その道しかなさそうだな。侵入者を落とすための穴にも関わらず、脱出ルートも用意してくれているとはな」

「これが脱出ルートならね」

「どういうこと?リーブル」

「言っだろう?この機械都市には狂った研究者がいるって。僕たちを泳がせて、楽しんでいるのかもね」

「え、じゃあ私たちはどうなるの?」

「リーブル、身もふたもないことで沙知をビビらすな」

「ごめんよ。あくまでも可能性の話だよ。どちらにせよ、ここで何もせずに待っているという選択肢はないよね?」

「勿論だ!俺は自分の運命は自分でぶち壊す。それが先のない運命なら尚更な」

「じゃあ、行こうか。僕が先頭を行くよ」

「沙知、お前は真ん中に入れ。怖がりだろ?」

「う、うるさいわよ!まぁ、あんたがそこまで言うなら、真ん中に入ってあげなくもないけど」

涼吾たちは、先の見えない道を進む。

「なぁ、リーブル!」声が響く。

「なんだい?涼吾」

「ちょっと、待て。この場所、今まで歩いてた道よりも声が響かないか?」

「そういえば、そうね」

「もしかしたら、広い場所に出たのかもしれない」

その時、突然壁に沿うように火が灯り始める。

「なんだ!?」

「涼吾!」

「これはまずいかもしれないね」

完全に火が灯り、部屋全体が火で照らされると、大きな影が見えた。

「沙知、下がれ。何かいる」

地下空間に機械音が響き渡る。

「何?機械兵?」

「違う、一体だ。しかも、俺らが見た機械兵なんかよりも大きい」

機械音は近づいてくる。奥の暗がりからその機械音が正体を見せる。

「なんだあいつは!?」

奥から姿を現したのは、涼吾たちが見た機械兵を5倍くらいの大きさにした、機械兵だった。

「お前ら、柱の裏に隠れろ」

「う、うん」

近くに見えた柱の陰に隠れる。

ウィーン、ウィーン

機械兵はあるところで止まった。

「止まったね」

「ああ、急に止まったな。何かあるのか?」

「でも、どうするんだい?僕の言った通りになってしまったようだね。これは侵入者に希望を見せてから、絶望に落とすための一種の演出なのかもね」

「だが、引くわけにはいかない。ここを抜けられないようなら、琴音を助けるなんてどちらにしろできっこないからな」

「そうだよね。私も怖がってばかりいられない。琴音ちゃんはもっと怖いかもしれないんだから」

「でも、どうするんだい?明らかに、さっき見た機械兵とは比にならない大きさだよ。また、チップでも奪うかい?」

「それは無理な話だな。俺も少しは休みたいんだ。それにそんなことをしなくても切り抜ける方法はあるかもしれない」

「本当かい?」

「ああ、さっきから何かチョロチョロと音がしないか?」

沙知は耳を澄ます。

「本当だ!何か音がするね」

「多分、水の音だと思う。この広間のどこかに水が流れているんだ。それを介してリーブルの雷を浴びせる」

「すごい!それなら、倒せるかもね」

「ああ、空気中よりも不純物を含んだ水の方が電気を通すからな。問題は奴に水をかけられるかどうかだ。音からして水の量は大して多くはない。だとすると、奴の弱点に重点的にかけて一気にショートさせるしかない」

「私は涼吾を信じる」

「ああ、ここからは役割分担だ。危ない役を沙知にやらせるわけにはいかない。敵を引きつけるのはリーブルにやって欲しい。いいか?」

「そうだね。君たちじゃすぐに捕まりそうだしね。任せてよ」

「ありがとな。水の方はなんとかするから、あまり今の場所から奴を動かさないようにしながら捕まらないようにしてくれ。こっちの準備ができたら合図を出すから、そうしたらお前の帯電してる電気を一気に放電してくれ」

「了解。僕は多分大丈夫だから、君たちの心配をした方がいい。こんなところで死なれたら、ぼくの国を助けられないからね」

「ああ、でも、この世界じゃ死んだらどうなるんだ?」

「その話は後だよ。とにかく、ヘマはしないでくれよ」

「そっちもな」

「じゃあ、行ってくるよ」

リーブルは柱の陰から出て、巨大機械兵の前に出る。

「ねぇ、僕と遊ぼうよ!」

機械兵は止まったままリーブルをじっと見ている。


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