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第7話 娘との喧嘩
「お父さんだってやるじゃない、真っ直ぐに伸びたい松の枝を針金で亀甲縛りして植物の望まざる下衆の姿に育てるじゃない」
「娘よ、果たしてそれは下衆の姿なのだろうか?人間の尺度で見たら枝を曲げる事は下衆な姿かもしれないけど、植物側からしたら台風なり倒木なり動物に折られたり、非人為的に枝が曲がる事だってある。人が人為的に曲げる事も人を自然の一部とするならば同じ事じゃないのか?
人と自然を同列に考えていない君の考えこそ傲慢じゃあないのか?まぁ、分かりやすく言えば上から目線じゃないのか?」
「パパはそんなんだから人を育てる事が出来ないのよ」
「誰の事を指してる?誰を育てられていないんだ?」
娘と私、ここで同時に無言になる。答えは出なかった。
その晩、たぬき顔のAVの封印を解いた。息子のカレンダーに太字で二と書き込んだ。