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王子を不幸にしかしない婚約破棄

王子が不幸になる婚約破棄~逆ハーレムはしない 編~

『王子が不幸になる婚約破棄~ ○×編~』と似たようなタイトルがありますが、それぞれが別の話になっています。



続きはありません。

「キャリスタ・ナスノ公爵令嬢、お前との婚約を破棄する!」

そう高らかに宣言するこの国のボンクラ王子、もとい王太子アルフ・マックストキ様。

「お前は、クラリッサ嬢に非道な嫌がらせの数々をした。そんな性悪女は、この国に必要ない!」

私の付いた嘘を鵜呑みにして、何も調べることもせずに、王家に忠誠を誓う公爵家のその一人娘であるお嬢様を断罪するなんて馬鹿げてますね。

お嬢様の言う通り、このボンクラ王子は面白いほど、こちらの都合のいい展開で踊ってくれる。

他にも、王子の取巻きたちがお嬢様に罵声を浴びせ、取巻きたちの両親たちは顔色を悪くしている。

だって、それはボンクラ王子と取巻きたちはもう後がないから。

「王太子アルフ、お前は本当にキャリスタ・ナスノ公爵令嬢との婚約を本当に破棄するのだな!」

「もちろんです! こんな女、王家には必要ない!」

「なら、誰と婚約したいと申すのだ?」

青筋立てながらボンクラ王子に尋ねる王様。

父である王様の様子に気付くことなく、得意顔でボンクラ王子はこうほざいた。

「決まっています!キャスリタが嫌がらせをしていたクラリッサ・ニュースペイパー男爵令嬢です。心優しい彼女だからこそ、俺の隣に立つのに相応しい!」

呆れて声も出ない王様と王妃様。

「あははははっ!馬鹿じゃないの、このボンクラ王子。どこをどう見て、私が心優しいなんて言うの?」

私は地面にうずくまって、涙目になって大爆笑。

「クラリッサ?」

ボンクラ王子とその取り巻きたちが私を不思議な目で見てくるのですが、笑いの神様が降臨して私の笑いが止まらない!

私を無視して、王様は厳しい声でボンクラ王子に言います。

「何を言っているのだ?王太子アルフ。この国にも、他国にも、ニュースペイパー男爵家なんて存在しないぞ」

「父上、嘘をつかないでください!ここに、いるじゃないですか!」

それにしても、ある意味すごいなボンクラ王子。

この国の王様をウソつき呼ばわりですか。

「王様、私もう笑いが止まらない!」

この国の頂点に立つ王様の前で笑い転げるのは不敬だと分かっているのですが、笑いが止まらない!

「クラリッサ嬢、すまない。我が息子がこんなに愚かだとは思わなかった」

沈痛な面持ちで私に謝る王様。

狂ったように笑い続ける私。

「おやめなさい、クラリッサ。このままでは話が進みませんわ」

「わかりました、お嬢様」

「どういうことだ、クラリッサ!」

私の台詞に驚いて、私に詰め寄るボンクラ王子。

「分かり切った答えを求めるとは、本当にボンクラ王子なのですね。私は、ニュースペイパー男爵令嬢ではありません。ただの、クラリッサです。

私は、あるじキャリスタ・ナスノ様の命により、あなた様に近づいて甘言を吹きこみ、嘘をついておりました」

「ウソだ!」

「嘘ではありません。調べれば、すぐ分かることです。お嬢様が、私に嫌がらせをしていたという嘘も」

「なんでこんなことをした!」

「ボンクラ王子。あなたは以前、私と同様の行動をした女狐に騙されていますね?私は彼女の行動になぞって、あなた様に好かれるように仕向けたのです。

あなたの性格、行動、王家の権力の乱用と、ナスノ公爵家に入るに相応しくありません。

お嬢様は、ナスノ公爵家の至宝。

お嬢様のおかげで、ナスノ公爵領は私のような孤児にも住みやすい地域に変化しています。

領民はみな、お嬢様に感謝しているのです。

そのお嬢様が、あなた様を夫にすると公爵領が荒れると断言いたしました。

ですので、脚本メイリー、実行要員私で、お嬢様が危惧されることが本当になるかどうかを見極めていたのです。

結果、今この場でご自分で『不合格』であると証明されました」

「そういうことだ。アルフ・マックストキ、今この場にてお前を廃嫡する。そして、ハクタカ公爵家長男・ヒカリレールスター公爵家三男・ツバメ侯爵家次男・コダマ公爵家長男・ツバサ商会長男も、廃嫡とする。詳しい沙汰は追って命じる。

そして、クラリッサ嬢。此度の任務、ご苦労であった。

あなたのおかげで、この国からこれ以上ひどくなる前に濃を摘出できた」

「お気になさらないでください、王様。

元王太子様が、ナスノ公爵家に臣籍降下すれば領内が荒れるのは必至。

そして、王族として留まればこれまで以上の被害者が続出するでしょう。

そうなる前に、手を打つのは当然のことかと」

「此奴め、最後の温情まで無にしやがって。衛兵、此奴らを連れていけ!」

衛兵に連行される際、ボンクラ元王子は

「俺は王族だぞ!こんなことして許されると思っているのか!父上、父上、あなたは俺を見捨てるのですか!?」

人の話を聞かない人ですね。

見捨てなかった結果が、こうなっているのですが。

ボンクラ元王子の取巻きたちもなにやら言っているのですが、衛兵たちはそれを無視して連行していきます。



この後、ボンクラ元王子と取巻きたちは性癖が色々塗り替えられる名所として知られる戦地エックスチェンジに送られ、楽しく?過ごしたそうです。

そこには、ボンクラ元王子と取巻きたちを始めに誑かした女狐が犯罪者として収容されているところでもあります。

【クラリッサ】

ボンクラ元王子と取巻きたちを唆す時は、クラリッサ・ニュースペイパー男爵令嬢と名乗っていた。

キャリスタ・ナスノの信望者の一人。


【キャリスタ・ナスノ】

転生者。

かつての自分の婚約者アルフ・マックストキとその取り巻きたちを女狐が侍らせていることで、つんだと思った。

幼い頃から、領地経営に関する才覚を発揮していた。

領内に、信望者が多数いる。


【女狐】

名前は、レディー・フォックス。

転生者。

元王子と取巻きたちを見て、ここが乙女ゲームの世界だと思い込み、色々して唆した。

エックスチェンジに行ってからも、見目の良い男を唆そうとしたが、全くうまくいかなかった。

見目の良い男を侍らせることが生きがいな彼女にとって、そこは地獄同然である。


【メイリ―】

転生者。

彼女もクラリッサ同様、孤児。

女狐を断罪した黒幕。

その時、彼女は高笑いしていたとかいなかったとか。



読んでくださりありがとうございました。

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