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おやじ彼女  作者: ponta
天下無双
533/570

刺客

「一発で、わかったぜ。あんた大野奈津美だな? 何でも絶対にタイマンは受けるって?」


白いジャージをきた男は、短髪で175cm、70kg。右腕が太く拳ダコがある。


「典子、聞いた? ほんと、私って変なの引き寄せるよねえ。

 お前はどこでやられたい? ここか、それとも場所変えるか?」


「やる気満々じゃねえの。ついてこいや」


「くくくっ。楽しくなってくるねえ。タイマン? 何で高校生の真似事してるかなあ。

 お前、二十歳超えてるだろ?」


男は、苦笑いを浮かべると、舌打ちした。


「何でわかった?」


「その拳タコ。それから、お前みたいな老けた高校生は見たことない。

 お前、何やってる?」


「ばれちゃしょうがない。空手だよ。あんたと一緒さ」


「ふん。素人の振りして、相手油断させようってセコイ奴と、

 一緒にされたかないね。後ろの奴らも見学って感じじゃなさそうだ」


「こいつらは、立会人だよ。光臨会は、汚い手を使うからな」


「じゃ、さっさと行こうぜ。腹減ってんだ。ちゃちゃっと終わらせてやるよ」


男たち三人に囲まれ、脇道に入り、通りから一本入ったアパートの駐車場へ入る。

三人とも有段者だな。隙が無い。


男たちは、俺の逃走を警戒してか、入り口付近に陣取る。

俺は、典子に鞄を預け、上着を脱ぐ。


「さて、はじめましょうか。あ、その前に、お名前は?」


俺はそう言って、後ろ手に首をかしげる。

男は、少しにやけた。


「石津健司だ。では」


構えようとした男に、俺は頭をぺこんとさげ、両手を差し出す。


「握手、いいですか?」


「お、おお」


男が俺の手を握ってきたので、俺は股間を蹴り上げた。


「ぎゃっ」


石津は、泡を吹いて股間を押さえながら、倒れ込む。

石津の股間が濡れ、徐々に真っ赤に染まっていく。


「おっ! 典子、見てみ! たまたまチャンが、つぶれたよ!

 これ、タイミングあわないと無理なんだよねえ。

 皮からね、睾丸が飛び出すんだ。真っ赤でおもろいよ」


後の二人の顔が強張っている。


「卑怯かな? ここは、試合場じゃない。

 油断するのが間抜けなんだよ。

 さあ、次はどっちだ? 二人同時でもいいんだぜ?」


左の奴が、雄たけびをあげてかかってくる。


「おおおお!!」


右フック、左アッパーを避け、俺は右の関節蹴りを当てる。

男は顔をしかめ、左足を引きずりながら、後に下がる。


「ははは。お前らどこの流派だ? 蹴りの受け方もしらんのか?」


俺は二段跳び膝蹴りをだす。

男は俺の左の跳び膝蹴りをブロックしたが、右の膝蹴りを顎にあててやると、

顔を背けて距離を取ろうとする。


俺は右のハイキックで顔を蹴りぬき、男を倒した。


「さて、待たせたな。お前が最後だ」


最後の一人は、いつの間にか典子の髪の毛を掴み、

右手に特殊警棒を握っていた。


「く、くるな! この女がひどい目にあうぞ!」


「痛い! 放して! 放してって!」


典子は痛がり、髪を手で押さえる。


「おい。お前、死にたいのか?」


そういいながら、俺は、男に近付く。


「うるせー! 近付くな!」


「お前がいま、髪の毛掴んでる典子はな、六道会、会長の娘だよ。

 お前、親父さんがこのこと知ったら、殺されるよ。

 お前だけじゃない、お前の家族も全員な。

 やくざは怖いぜー。楽に殺しちゃくれないよ」


男はぶるぶると震えている。


「そんなに怖がらないの。一瞬だから」


俺は力を溜め、男に向かって跳び、男の顔面に頭突きした。

男は鼻から血を噴き出しながら、後に倒れた。


「へっ。ばーか。武道家の風上にも置けん奴だ。

 典子、大丈夫か? けがはない?」


典子は倒れた男に蹴りを入れる。


「痛いじゃないのー! せっかくセットしたのに、髪めちゃくちゃよ!

 なんとかいえ!」


「典子、そいつ気絶してるって。さてと、どこのどいつか吐かせるか」


俺は、一番ダメージが低そうな、ハイキックで倒した奴の胸倉を掴み、

頬を張った。


「あっ、うっ」


「目が覚めました? どの流派か教えてください」


「だ、誰が言うか!」


俺はそいつの顔を、左に向け、鼻が陥没して、気を失っている奴を見せる。


「ああなりたい? そうおっしゃるんですね。では」


俺が拳を振り上げると、男は態度を変えた。


「やめてくれ! 俺が言ったって、言わないでもらえるか?」


「ふん。しゃべる気になったか。黙っててやるよ。さあ、いいな」


「し、至誠会」


「ああ、至誠会ね。ご苦労、じゃあこいつら病院に連れてってやれ。

 あと、来るときは連絡してからこい。

 今日はジーンズだったからいいけど、スカートならお前らこんなもんじゃすまないよ。

 俺のパンチラは、高くつくんだ。わかったな?」


「わ、わかった」


「さて、お待たせ。典子、行こうか?」


それから、典子とランチをすませた。

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