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おやじ彼女  作者: ponta
天下無双
526/570

寄付

「大平君、おかしくない? いったい何に使っているの?」


「え? いや、それはほら、グローブ買ったり、シューズ買ったりとか」


私は大平君をじっと見つめる。

大平君は、困った顔で、目を逸らし、ちらちらと私を見る。


「大平君、あなたのお金を何に使おうが、あなたの自由よ。

 でもね、税金は翌年にくるの。なんで、全部使っちゃうの?

 少しは考えなさいよ」

 

「そんな風に言わなくていいじゃないか。

 俺だっていろいろ考えてるよ」

 

「考えてる人が、そんな無駄使いする?

 だいたいあなたは、ちょっとお金が入ったからって、

 後先考えずにお金使っちゃうような計画性のない人だったの?」

 

「うるさいなあ。ガタガタいうなよ」


「そうね。私が言うことでもないし、勝手にすればいいわ。

 お金使いたきゃ、好きなだけ使いなさい。

 何が、二人の将来を考えてるよ。一遍、頭みてもらったら? 私、帰る」

 

帰ろうとする私の横を大平君がついてくる。


「ついてこないで」


「俺はただ歩いてるだけだ」


「これ以上、ついてくるとあばら折るわよ」


「言い過ぎた。謝るよ」


「煩いわね。消えてくれない?」


「聞いてくれって」


「私帰るんだからついてこないで」

 

「寄付したんだよ」


「寄付?」


「俺が前にいた和白の青松園に寄付したんだ。勝手にやったのは謝るよ。

 でも、何かしたくてそれで……」

 

「呆れた。何で一言相談してくれないの?」


「ごめん。金は、世界チャンピオンになってからまた稼ぐからさ。

 10回は防衛するよ」

 

「大平君、私、お金に困ってるように見える?

 大平君が、お金稼ぐから付き合ってると思う?」

 

「思わないけど」


私はため息をつく。そうなのだ。この人はぶっきらぼうに見えて、

その実、人のために何かする人なのだ。

自分が大切と思う人を決して裏切らない人なのだ。

だから、私は惹かれ、こんなに好きになったのだろう。


「お金に執着心がないのもいいけど、税金のこととか考えてね。

 光臨会に出入りしている税理士さん紹介してあげるわ」

 

「税理士? いいよそんなの」


「よくないの。寄付した分の何割かは、税金の優遇うけれるんだよ?

 私たちもいつまでも子供じゃないんだから、そういうことちゃんとしないと。

 でも」

 

私は足を止め、大平君の手を引いて止まらせる。


「何?」


「大平君、好きだよ」


「あ、え、うん。お、俺も」


大平君が私の両肩に手を置いたので、私は膝蹴りを入れた。


「うぐっ。な、なんだよ……」


「こんな往来で、キスしようとする愚か者には、お仕置きよ。

 じゃあ、行きましょ」

 

「行くってどこに?」


「青松園よ。彼氏が寄付してんのに、私がしないわけにはいかないでしょ?」


「う、うん!」


私は大平君と青松園へ向かった。

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