不意打ち
「ばーか。荒過ぎんだよ。そんなんで、俺に当たるか」
「次いけ、次ー! 姫を素っ裸に剥いちまえ!」
俺は野次を飛ばした奴めがけて、跳び膝蹴りをだし、顎にあてて倒した。
高みの見物を決め込んでいた卒業生たちが、俺から距離を取る。
「観客のつもりかぁ? ええおい? 俺の裸はなあ、安くねえんだよ!
見物だけして、拝もうとするやつは、ぶっ飛ばしてやるから、
ありがたく思いな!」
「大人しくしてやってりゃ、ふざけんな!」
殴りかかってきた奴のフックをダッキングで避け、左の掌底を顎にあて、
右の真正の突きで倒す。
「よええ。弱すぎんぜ! 根性見せろや馬鹿ども!」
『やったれ!』
『つぶせええ!』
『いけおらー!』
卒業生たちは、目の色を変え、殺到してくる。
右に避け、左膝蹴りを打ち込み、後ろに下がり、右後ろ回しを叩き込む。
寄ってくる奴らを次々と倒し、その数が10人にもなると、恐れをなした奴らは、取り囲むだけで、
かかってこない。
「お前ら、それでも男か? かかってこいよ」
挑発しても、かかってこない。
カウンターで、体力を温存したかったのに、仕方ない。こちらから攻めるか。
西田が腕を回しながら、前に進み出てくる。
「姫のおっぱい揉めるとなれば、やらんわけにはいかんな」
「おっぱい言うな! このエロ助が!」
「ふん。エロが絡んだ俺は、強ええぜ」
踏み込み、右の裏回し蹴りで、側頭部を狙うと西田は、見事な上段受けの後、
左フックで顔面を狙ってきた。
上体を反らすと、鼻先を拳が過ぎていく。
「ちい。もうちょい!」
「当たるか、ボケ!」
左ミドルを入れ、動きを止めてから、右跳び後回し蹴りを入れる。
西田は、片膝を突きながら、掴みかかってこようとしたので、右の膝蹴りを顎下に入れて倒す。
「ヒューッ。今のは惜しかったな。まあ、俺に入れるにゃ、もう一捻り……」
後から腰にしがみつかれ、バランスを崩すと、前から殴りかかられた。
俺は左上段受けして、相手の右を流し、鼻面に頭突きする。
腰にしがみ付いた奴を引き離そうとするが、振り解けない。
「いまだ、やれ!」
「放せこの! どさくさに紛れてケツ触んじゃねえ!」
正面から数人が殴りかかってくる。避けようにも腰にしがみつかれていて、
動けない。
「放せ、このー!」
「早く一発いれろ! おっぱい吸うんだ!」
「誰が吸わすか!」
正面からの攻撃を何とかブロックしていると、松下がやってきて、
俺の腰にしがみついていた奴を引きはがし、胸倉を掴んだ。
「タイマンだっつってんだ。聞こえてねえのか?」
途端に攻撃は止まり、俺の周りにいた奴らは、へらへら笑って離れた。
「たくっ。ぶち壊すなよ。せっかくの追い出し会を。
胸触らすとか言ったら、目の色変えるにきまってるだろ?
女に飢えてるんだから」
「お前はかかってこないの? 俺クラス女の胸なんて、なかなか触れないよ?」
「やだよ。かっこ悪りい。まあでも、そういうの無しに、勝負させてくれるなら、
話は別だ」
こいつ、最初から、俺にかかってくる気っだったな。
素直じゃないな。
「ふん。だったら、幹部に挑ませるとか、面倒なことせずに、
最初からかかってこいよ」
「ははは。そうだな。おそらく、俺らとタメでは、日本一強いやつ目の前にしたら、
やっぱ、やってみたくなんだろ? あ、それと」
松下は、左手で頭をかき、少し恥ずかしそうにして、右手を差し出してきた。
「ん? なんだよ?」
「感謝してんだ。ほんとにさ。握手してもらっていいか?」
「いいよ。握手ぐらい」
俺が松下の手を握ると、松下がぐっと力を入れた。
「ちょっと、痛いよ」
「俺さ、実は大野に勝つ方法をずっと考えてたんだ。
捕まえるのが一番って、この前の朝鮮高校でよくわかった」
「はっ。捕まえただけで、俺に勝てると」
突如、火花が散り衝撃で頭が強制性に後ろに動かされた。
鼻がつんとして、温かいものが流れ出す。




