表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おやじ彼女  作者: ponta
壮士凌雲
516/570

序戦

「えー。ひげ面親父の相手を私がー?

 そうねえ。西田、相手してあげて。

 西田に勝ったら、私が相手してあげるわ」

 

西田は喜々として、金の前に進んで、右の拳で左手の平を打った。


「おーし! 見せ場だぜ!」


金は俺の方を、いぶかしい顔で見る。


「お前、何なんじゃ? 態度コロコロかえやがって。

 まあ、ええわい。こいつやったら、相手してもらえるんじゃろうの?」


「ええ。勝てたらね」


西田が、殴りかかると、金は右のパンチをかわして、

身構えた。


「空手使うか何か知らんが、ぽっと出の女に尻尾振るような奴に、儂がやられるかいや!」


俺は三人に寄るようにジャスチャーして、耳打ちする。


「金は単純そうだが、李の出方が気になる。

 不意打ちしてこないとも限らない。周囲を警戒しててくれ」

 

三人がこくりとうなずき、俺は松下からクラブケースに入れて,

持ってきてもらっていた棒を受け取る。


金と西田は、最初は慎重だったものの、

すぐにノーガードでど突き合いをはじめた。


肉や骨を打つ音が響き渡り、血や汗のしぶきが飛ぶ。


「だぁー! しつけえぞ! いい加減、くたばれや!」


「くかかか。甘いのー。大甘じゃー。女の尻に敷かれとるような奴は、

 言うことが違うわい」

 

「お前も一辺敷かれてみろや。最高の尻だぜ! いくぞ、おらー!」


殴りあう二人を見ていると、田崎が二の腕を突いてきた。


「おい、気付いてるか?」


「うん。ちょろちょろ変な奴らが動いてるな」


「囲まれてるぜ。どうするよ?」


「任せなって。棒持った俺は、20、30人じゃ倒せねえよ」


「はっ。言うねえ。このお姫様は。頼りにしてるぜ」


二人は10分近くも殴りあい、お互い顔を腫らし、血を流しふらつきながらも、

手を止めようとはしない。


「や、やるじゃねえか。ち、ちっと疲れてきたぜ」


「当たり前じゃ。わしゃー、朝鮮高校のあ、頭じゃぞ。

 しっかし、ぬしゃー、しつこいのー」

 

俺は殴りあっている二人の傍へいって、肩に手を置いた。


「よーし。ちょっと休憩! 見たところ二人の実力は互角。

 一息ついて、お互い全力の一撃をだしあって、決着をつけてはどう?」

 

「はぁはぁはぁ。お、俺はそれでいいぜ」


「くはっ。わ、儂もじゃ」


二人が離れ、疲労困憊という西田に、松下がペットボトルを差し出す。


「気合い入ってんじゃねえの。金って、タイマン負けなしって聞くぜ」


西田は、500mlのお茶を飲み干すと、にやっと笑った。

前歯の下の歯が無くなっている。


「よほど、弱い奴らとやってきたんだろ。大したことねえよ」


三野が笑いながら、西田のほっぺを突いた。


「うおっ。やめろ! 痛えんだぞ!」


「顔、パンパンのくせによく言うぜー。第二ラウンドもあるんだから、

 さっさっと決めろよな」

 

「第二ラウンド?」


田崎が煙草に火をつけながら、顎でしゃくる。


20m程離れた路地から、こちらをうかがっている奴が見える。


「うへー。マジかよ。俺、もうおなか一杯だって」


俺は首を回しながら、金の方へと歩いていく。


「ちょ、ちょ、ちょっ! 姫は何するつもりだよ?!」


「うん? やんないんだろ? なら、金はもらおうかなって」


「馬鹿やろ! ここまでやって、引けるか!」


「その意気、その意気。後のことは、考えなくていい。

 久々に、俺の棒さばき見せてやるよ」

 

「うーむ」


「なんだよ?」


「いや、姫が棒とかいうとエロイなって」


「この馬鹿チン!」


西田の股間を蹴り上げると、西田は内股になって、

うずくまった。


「目覚めたか? がつーんと一発、かましてこい」


「いちちち。うちの姫君は相変わらず厳しいなあ。わーったよ。気合い入ったわ」


西田が、腕を回しながら進んでいく。

金もそれを見て、首を回しながら近付いてきた。


「いくぜー!」


「吠えるなや。儂の本気みせたらあーや!」


田崎が横に来て、ふっと鼻で笑った。


「意外だな。男っぽいお前は、勝ちにこだわるかと思ったが、

 成り行き任せとは」

 

「せっかく西田が頑張ってるからさー。あからさまだと、西田に悪いだろ?」


俺は右に移動して、金がよく見える位置に立つ。

二人が振り被ったところで口笛を吹いて、スカートを捲った。


金が俺を見て、固まったところで、西田の渾身の右が、金の顔面にヒットして、

金はもんどりうって、倒れる。


金の手下が、騒ぎだす。


「金さーん!」

「金さん、立ってー!」

「汚いぞ!」

「なんて、汚い女だ!」


西田は、意味がわからず、困惑した顔で振り返る。

田崎が、歯を剥いて前に出た。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ