開戦
「ひっくひっく。ごめんなさい。
私が、私が悪いんです。金さんの告白を断ったから。
でも、でも私、男の人と付き合ったことないから、怖くって……」
「金さん! なんすかそれは?!」
「かっこわるいっすよ!」
「見損なったぜ! ひげおやじ!」
「お前ら、話をきけ! ええか、この女はな!」
「ごめんなさい! 許してください!
ホテルでも何でもついていきますから!」
男たちが金を攻めていると、向こうから歩いてくる田崎たちが見えた。
よしよし。松下は、ちゃんと俺の棒を持ってきているな。
こいつらは、危険じゃないが、いまだ姿を見せない李がどうでてくるかわからん。
油断はできん。
「来たぞ! 三鷹水産だ!」
男たちが一斉に校門の方を向いて身構える。
金は、俺と田崎たちを交互に見ながら、腹が決まったのか、
田崎たちの方を見た。
「よぅ、来たのー。お前らの名前は聞いとるぞ。
四人で来るとはええ、度胸じゃ。
勝負しようやないけ!」
田崎は、不思議そうな顔をして、返答する。
「四人? 単独行動が好きな俺らの頭は、もう来てっけど?」
田崎の言葉に、金の配下は、ざわつきだす。
「何言ってんだ?」
「田崎が頭だろ?」
「じゃあ、あの噂って」
俺は金たちの間を歩き、田崎たちの前に行く。
西田の顎を撫でながら、金の方へ振り返る。
「おほほほ。なんてお馬鹿さん達なのかしら。
私みたいな有名人を知らないなんて」
「あー! 知ってる! お前、知ってるぞ!
年末の格闘イベントに出てた女だ!
畜生! だましやがって!」
真ん中にいた男が、俺に殴りかかってくる。
その突進をさけ、足をかけて転がせて、
振り返った顔を踏みつけた。
俺に顔を踏まれて、痙攣している男を見て、
金たちは声を無くす。
「あーら。手応えのないこと。
男の中の男を目指した集団じゃなかったっけ?」
「なめんなー!」
跳びかかってこようとした茶髪を金が、手で制した。
「待てい! そいつは、儂の獲物じゃ。
こがんに、血が滾ったのは久しぶりじゃわい。
勝負したらんかい」
俺は姿勢を正し、上体を90度まげ、最敬礼の姿勢をとった。
「先ほどは、見ず知らずの私などのために、心のこもったおもてなしをしていただいて、
ありがとうございました」
「お、おお……」
「おかげさまで、快適に過ごせました」
俺が上体を戻し、笑顔を作ると、金は恥ずかしそうに、
目を逸らして鼻の頭を右の人差し指でかいた。
「さてと。それは、それ。これはこれということで」
俺は表情を変え、冷たい目で金を見る。




