シンクロ(同調)
常識度が人並み外れた兄貴には、直球が効いた。
「・・・・マジっすか?」
「マジっす」
この二言のみで会話が成立してしまうのは、もの凄く都合の良いことであるが、逆に兄貴の方が心配になってしまう。
(ホントにこんなんで『えりぃとさらりぃまん』なのっ?!ってか、何も疑問も抱かずにいれる兄貴の頭って、ホントに正常と言っていいのっ?!)
・・・多分、ダメだろう。
△ ▼
「・・・あの。ケイスケさん〜??」
俺達は学生寮を出てから、取り敢えず手短にあいている飲食店(この場合、ラーメン屋だったワケだが)に入ることにした。・・・いや、むしろ俺がケイスケを引きずって連れ込んだ。
だが、それが間違いだった。あの時は腹が減っていて、取り敢えず食い物にありつければそれでいいや的考えが頭の中を支配していたわけだが、実際の現状から言うと・・・。
「あ、すいませ〜ん。ねぎチャーハンと餃子とライスと・・・あ、やっぱ塩ラーメンも。全部1つずつ追加でお願いしま〜す♪」
「って、おい!聞いてんのか、この野郎っ」
もっと、よく店ぐらい選ぶべきだったと思う。連れが男である以上なんだってこんなに食欲があるのだろうか?ついでに言うなら、今俺の目の前で平和そうに食べ終えたとんこつラーメンのつゆを啜っているケイスケくんは、『早食い・大食い・何でもありの、食べることだけに生涯をかけそうな男』と友人の間では言われちゃってる程のヤツなのだ。
(いや、俺が悪かったんだ。いくら腹が減っていても、判断力に欠けた俺が悪いんだ)
確かに、『何かオゴる』とは言った。でも、それは大して高くないものだったらの話であって、要はお財布の中がそこまで痛まない程度という意味であったはずだ。そぅ、ケイスケに問いかけたところ、
「ん?だって、一つ一つは安いじゃん?」
と、軽く流されてしまった。
(なるほど。塵も積もれば山となるってことっすかー。うわぁ、ケイスケ君、頭いぃ〜)
「・・・ってそう言う意味じゃねぇだろ〜っ?!だぁ〜っ!もぅ、コレ全部夢であってクダサイよ〜っ!!」
思わず、俺はそぅ叫んだ。
△ ▼
全部・・・夢であって・・・
「ん?」
由香は取り敢えず茂と街を徘徊していた。
服を借りることは出来たし、かといってこのまま学ッコに行ける訳でもなく、有休をとった茂と一緒に朝ごはんを食べに出てきたのだった。(本来、由香がいつも作っているのだが朝に素晴らしいハプニングがあったため、作る気が失せてしまったのだ)
「・・・兄貴?今、何か言った?」
「あぁ?いや、いってないけど」
すっかり関西弁を引っ込めた茂の返答を横目に、由香はこっそりと溜息を付く。
(だよなぁ〜。何か今聞こえたことって都合良すぎなことだもん。そりゃぁ、朝いろいろとコミカルなことばっかあったけど、さすがに私も疲れているんだなぁ・・・。幻聴・・・やばいかもぉっ?!)
「・・・なぁ、由香?」
「っさいなぁ。何っ?!兄貴、今私考え事して・・・」
「あれ、由香じゃない?」
アレ。と、茂が指差す方向に由香ははぃ?と目を向けた。
茂が指差す方向にはラーメン屋があって、その窓際には男女のカップル(・・・に由香には見えた)が座っていて、何故か男性の周りには在り得ないほどの皿が大量に置いてあって・・・ってか、その向かいに座っている女性って由香だったりして・・・っ?!
(はぁっ?!!)
由香は心の中で驚愕し、
「・・・ってくれ」
「んぁ?何か言ったか、由香」
「こんなの全部夢であってクダサイ〜っ!!」
大きく、人目など気にせずに絶叫した。
ラーメン屋の中にいる由香(仮)のほぅも何か頭を抱えていたが、そんな行動したいのは由香自身のほうであった。
ようやく、ラストシーンに入ってきた気分です。
とは言うものの、私のことですから『らすとしぃん』何てモンがいったいどのくらいかかるのかは分かりませんがね。
それでも、皆様の生暖かい目線・・・だけどっ!気長に待ってくださることを信じて(いや、願って)います。
それでは、今回も、最後まで読んでくださって、ありがとうございます。つきましては、ご意見やご感想、ご評価の方も宜しくお願い申し上げます!