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戻りたい?

「ところでさ」

もぅそろそろいいかな?とカズマは思い、話を切り出す。

隣には、再び由香に「うるっさい!」と水面下よろしくテーブルの下で攻撃された茂が、敗北しましたと言わんばかりの、寂しいオーラを発しつつテーブルに突っ伏しっている。正面では、ケイスケと由香が荒い息を整えようと、水を一気飲みしているところだった。

「っぷはぁー。ん?何か言ったか、カズマ?」

「いや、ケイスケじゃないよ」

「残念ながら、妹の渾身の一撃を食らってしまっているのでもぅ少し時間を置いていただけねば君と話すほどの気力が溜まらないけど」

「・・・や、お兄さんでもないから」

じゃぁ・・・。そういう雰囲気の中、ケイスケと茂が視線を動かす。

はた、とその場の空気が止まる。

「・・・え?わた・・・し?」

由香が、目をビックリしたように小さく見開いた。

ソレに対し、カズマが小さくうなずく。

「うん。だって、最初に話があるからって入ってきたのは君でしょ?」

「う・・・。まぁ、そうなんだけどね」

そうなんだけど・・・。と、もごもごと口の中で言葉を言う由香を見て、カズマは苦笑する。

「やぁ、言いたいことは多分、分かるからいいよ、言わなくって。でも、ちょっと聞いておきたいことがあってね」

話を聞いていたケイスケがあぁ。と思い当たったように天井を仰ぎ見る。

「んー?カズマ。この子も、そっち系?」

「・・・っぽい。いや、もぅ面倒だし学ッコ休んでるし服とか不便だし腹減ってきたら困るし。悠長なこと言ってないでさっさと片付けちゃおうかと思って」

「うわぁー、ちょっと荒っぽいねぇ」

「しょーがないじゃん」

「ちょっと、話余計見えなくなってくるから、途中で切れないでよ」

だんだん理解できなくなってきた由香が、慌てて二人の会話を止める。

「あぁ、うん。それでさ。単刀直入に言っちゃうと、君、元の自分に戻りたいの?」

「・・・え?」

予想外のことを言われたのであろう、由香はなんともいえない微妙は表情のまま固まった。

その顔は、予想外・困惑・焦り。取り敢えずは、正直に言うべきか言わないべきかという逡巡が入り混じっていた。

「なんで?」

「だって、君が望まなきゃこんなことにならなかったもん」

かぁっ、と由香の顔が赤くなる。

「どっ、どうしてそんなこと言い切れるの?!」

明らかに由香の顔には、羞恥を覚えた焦りの表情が浮かんでいた。

「だて、そうだもん」

「は?」

「だって、俺はそういう体質なんだもん。ヒトって、ほぼ例外なく、あの時あーすれば良かった、こーすれば。って後悔してさ。で、たまにいるのよ。自分なんかもぅ捨てちゃいたい。自分とは違う、誰かになりかわっちゃいたいって」

「・・・・。」

「分からない?覚えてない?君は、少しならず、凄く強く、自分を捨てたいって望んだんだ。いっそのこと、別の誰かとして生きたいと、願ったんだよ。それで、自殺とか、するヒトも世の中には、いるけど。けど、君は頭が良かった。死ぬことは決して自分への開放ではないことも、死ぬってコトはあくまで「自分」という人生の中で、その存在を真っ当した終わりかたになっちゃうってことも、ちゃんと分かっていたんだ」

「・・・違うよ。私は、自分を捨てようと思っていない。私は自分が好きだもん。自慢だもん。他のヒトになりたいだなんて、思うわけ無いじゃん。」

「じゃぁ、どうして寝なかった?」

「・・・え?」

「きっと、君は朝起きたら既に僕になっていたんでしょ?じゃぁ、どうして改めて寝なかったの?夢なんだって割り切って、きっと寝たらいつもの日常に戻れるんだって思って、寝なかったの?」

「そんなの・・・」

「思いつかなかった?」

間髪入れないカズマの返答に、由香が言いかけた言葉が、口の中で留まって、消える。

カズマの言葉は有無を言わさなかった。

見かねた、ケイスケが口を開く。

「カズマ、きつすぎー。女の子は、もうちょっと丁寧に扱うもんだよ」

「知らないね、そんなの」

「ゴメンなぁ、由香ちゃん。コイツはこいつなりに言い分持ってて結構怒っているわけよ。他人に気配りできないほどにね」

「・・・怒ってるって?」

「だってさ、普通おかしくない?いっくら由香ちゃんが別のヒトに成り代わりたいって思っていたとしても、なれるわけないじゃん。人格交換なんて、今の医学でできたっけ?できたとしても、相当お金がかかんない?」

「何が言いたいの?」

「そこが、カズマの怒っているところだっていいたいの。世の中、個人の好都合なように回っていたら、今頃きっと人類は滅びてるよ。まぁ、ソレはスケールがおっきすぎるとしても、個人の勝手な都合で、ヒトを振り回すのは、やっぱりおかしい。けど、由香ちゃんは、望んでしまって、ソレを叶えられてしまった。カズマっていう犠牲を出してね」

「犠牲って、私頼んでも無いことっ・・・」

「おっと、それ以上は言わないでね。そうじゃないと、俺もそろそろキレる」

「なっ・・・」

言葉が反射的に詰まる由香を見て、カズマとケイスケは顔を見合わせて苦笑する。

「やぁ、な?犠牲になったってコトに怒ってるんじゃ、ないんだよ」

「・・・?」

「コイツは、そこまで君が頭がいいのにも関らず、解決しようとしないで、逃げたことが気に入らないって怒っているんだよ」

分かった?と、小さく首を傾けて聞いてくるケイスケを、「一体何を言い出すのか?」といった感じでカズマが溜息を付き、言葉を繋ぐ。

「いい加減、お前の洞察能力には飽きが来るよ。どうして、そこまで完璧に俺の内心言い当てるんだ?恥ずかしくて、聞いちゃいらんない」

「・・・ねぇ、カズマ。褒めるか、けなすか、責めるかか、どれか一つにしてくれない?」

「・・・どうすればいいの?」

由香が小さく呟いた。

「逃げたんじゃなくって、本当に分からなかったの。勉強なら、ワークとか参考書とか、解決策がいっぱいあるでしょ?まして、答えがついてる。けど、分からなかったのよ。自分が嫌になった時に関する、ワークなんてある?参考書なんて、どこに売ってる?答えって、本当にあるの?」

「無いよ?」

いとも簡単に、あっさりと言ってのけられ、由香は「ほら」と、首を振った。

「だから、現実逃避してたの。願ったり、望んだりそんなことしか、私には思いつかなかったの」

「ソレが、逃げてるって言うことなんじゃないのか?」

ぽつっ・・・と、今まで黙っていた茂が、言った。

茂は、状態を起こし、椅子に座りなおしながら、話を続ける。

「参考書とか、ワークとか。無いことなんて、当たり前じゃないか?そんなこと、捜すまでも無く、分からないと、言い訳を言うまでも無く、常識として、分かることだと思うぞ?」

「・・・。」

「それは言い訳だよ、由香。お前は自分が現実逃避をしたという事実から、逃げたいだけだ。本当は、もぅ。自分の体に戻りたいんだろ?」

「・・・。」

「でなきゃ、俺の部屋に来てまで。わざわざ、服を借りてまで、外に出て、原因を突きとめには行かなかったんじゃ、ないのか?」

「・・・。」

「後悔したんだろ?まさか、望んだことが現実になってしまっていて。夢で終わらせるはずのことが、現実まで出てきてしまって」

「・・・うん」

「じゃぁ、戻れるよな?」

「・・・ん」





そこで、俺の夢は覚めた。








あと1話wwあと1話ww(二回言ってみた)

皆さん、お久し振りですーっ!!鈴乃です。

やぁ、とうとう残すところあと1話となりました。ココまで来るにも、沢山のコメントがあってこそ。やぁ、作家の気分ってこんなのなのかなぁ?(どんなのダ)

さて、テンション高めの私ですけど、言わなきゃいけないことは、まぁ、忘れませんよ。

ってなわけで、最後まで読んでくれた人に感謝感謝ですww

これからも頑張りますので、叱咤激励、ご感想、誤字脱字等の指摘やご評価がございましたら、どんどん言ってやってください。


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