オレンジジュース追加で。
「話したいことがあるんだけど、今、いいかな?」
・・・ぞわっ。
カズマとケイスケは本能的悪寒を感じた。
「えっ?!お・・・俺?!なんで、俺がそんな気色悪い笑顔浮かべながら話すてんの?!!」
カズマの素直な返答に由香の片眉がピクッと動く。
「いやいや!それよりカズマ、なんでそんな礼儀正しくなっているかが問題じゃねぇのか?やべぇって、絶対に!大地震の前触れか?!明日の朝、起きたら地殻変動のため日本が沈んじゃいました〜、てへ。なんてコトになるんじゃねぇのかっ?!」
ケイスケの真面目な返答にカズマの拳がグッと握り締められる。
「・・・っ!いいよね?!」
由香は、あまりといえばあまりの二人の会話に起こり、半ば無理やりともいえる様にケイスケの隣に座った。続いて、それに習うように茂もカズマの隣に座る。
「なっ、なんですかっ?!いきなり隣に座っ・・・い、痛っ?!」
カズマは慌てて茂の進入を止めようとするが、茂は涼しいで、少し微笑みつつ、
「あ、すみません」
といかにも営業スマイルでカズマの頭に右手を置き、軽く体重をかけた。カズマは首からはグキッと嫌な音をたて、小さく悲鳴をあげてからしぶしぶ反論することをやめた。
「・・・ちょっと兄貴」
由香は鋭い眼光で茂を睨むが、茂の方はやれやれと言いたげに肩をすくめただけであった。
(ったく、兄貴ってば。何で、私の体なのに中身が違うだけであぁも態度が180度急転換できるかなぁ?元に戻ったとき、痛かったらタダじゃおかないからねっ!)
「・・・いきなり、何ですか?」
むすーっとしているカズマを見て、由香は内心頭を抱え込んだ。
(ほーらほら、怒っちゃったじゃない!それでなくたって、非現実的なことを今から語り合いましょうってトキに、相手の機嫌損ねていったいどーすんのよっ?!あぁっ!こんな奴らと話がしたくない。なんて言われちゃったらどーしよーっ?!)
しかし、そんな由香の苦悩などなんのその。
時間は待っていてはくれないよろしく、ケイスケと茂は待っていてくれるような代物ではなかった。残念なことに。
△ ▼
「話したいことって、何?」
(でました!ケイスケのナンパ癖っ☆ナンパに走るための判断力は光の速度より早く、ナンパのテクニックは星の数を凌ぐ!・・・が、しかし。ソコまでの腕を持ち合わせても、中々女の子をゲットできないのは、やっぱり本人の性格に問題があるが故のこと間違いなし。フラれた数も星の数〜ってか?)
にこやかに、由香に微笑むケイスケの女の子センサーはバッチリカズマの形をした由香をキャッチしている。
うぅっ。と怯む由香を、カズマはざまーみろと言ったように、テーブルにひじを立て、あごを乗せながら優雅(と本人は思いつつ、でも実は結構だらしない図)でオレンジジュースをストローで吸い上げていた。
そんなカズマを内心はらはら・外見クールに見ているのが茂は、今にも地震を起こさんばかりの貧乏ゆすりをしている。由香がそれに気付き、かっこ悪いっ!と鋭い目つきで茂るを睨み、
テーブルの下で、遠慮手加減一切無く、茂の足を踏みつける。
ガンッ
「「?」」
カズマとケイスケが、何の音だ?と言うように頭にクエスチョンマークを浮かべる中、茂はテーブルにつっぷしって撃沈し、由香はおなじみ☆爽やかスマイルでケイスケの方に向き直った。
「いや、実は・・・さ。いやっ、別に怪しい話をしようとかっ!うわぁっ、何言ってんだ自分!いや、違っ・・・」
「君。朝起きたらいきなり自分の性別変わってなかった?」
どう切り出そうか決めていなかった由香がオタオタしているのを見かねて、いつの間にか復活し、背筋を伸ばしながら座っていた茂が、由香の言葉を遮って言った。
「「「・・・・・・・。」」」
僅かな沈黙が茂を抜いた3人の間に流れる。
三人には、それぞれ驚愕の顔つきが浮かび上がっていた。勿論、3人それぞれの意味合いは全く違ったが。
「なっ・・・なぁっ?!兄貴ってば何単刀直入に言っちゃってんのってかそんなおかしい聞き方じゃこっちがヤバイって思われちゃうじゃないのよいやいやそれより何で私より先にいっつもおいしい所を言っちゃうのーっ?!」
「・・・句読点がないぞ、そのセリフ」
冷静な茂のツッコミに、由香が引き、ケイスケが反論する。
「いやいや、ソコのお兄さん?そんなことを聞くって事はやっぱり、お兄さん?が元々の女の子なのっ?!おっかしーなー?俺のセンサーは確かにカズマの姿をしたこいつに向けられてたのに・・・」
「お兄さん?って一々聞かずとも、俺はれっきとした由香の兄だ。っていうか、センサーってなんだ?センサーって!由香をロックオンするなんぞ、お前似たいな、へなちょこにはまだまだハードルが高かろう」
「由香?へー、君って由香って名前だったのか」
「ばっ!兄貴ってば、何ぺらぺらと人のこと勝手に喋っているのっ?!」
「ねーねー、元の姿ってやっぱカズマの入ってるアレ?だったら、元に戻ったらお茶でも・・・」
「由香の予定は日々詰まっているぞ。そんなにお茶がしたいのであれば、俺が付き合うが?」
「お兄さん?は男でしょうにっ?!何が楽しくてムサい野郎と一緒に、ウフフアハハのお茶付き合いなんぞせねばならんっ?!」
「む。ムサくなどないぞ?これでも会社では彼氏にしたい男性NO1と結婚したい男性NO1なんだからな」
「うっわ。兄貴ってばそんなに会社で猫かぶってたの?」
「・・・すみませーん、オレンジジュースのおかわりお願いしまーす」
カズマは心ココにあらずといった雰囲気で3人の戦闘から抜け出し、一人でオレンジジュースのおかわりを注文した。
あぁ、今更なんだよと言われるでしょう、今日この頃。やっと、小説の更新に辿り着けましたよ。。。
だんだんと1ヶ月に一話投稿というリズムになってきてがっくりしてます。ってか、最初のうちなんて一週間に一話だったのに。。。何?!この差はぁっ・・・。
さてさて、由香と同じく作者だって時の流れには勝てません(クスンッ)。いくら苦悩しようが、過ぎるモンは過ぎるんですっ!ってなわけで、なんとかこぎつけましたよ十話目まで。やっと二桁なんだー(しみじみ)。あとちょっとで終わるよーとか言っておきながら、中々投稿しないあたり、いくら話が短くたって長編と同じなんだろーなぁー、きっと。
毎度おなじみの言い方となってきましたが、でもやっぱりこの辺りしっかり言っておかなきゃね。不定期な投稿で、本当にすみません。これからも頑張りますので、叱咤激励、ご感想、誤字脱字等の指摘やご評価がございましたら、どんどん言ってやってください。
ではでは!最後まで読んでくれた人に感謝感謝ですww