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境のほとり~怪異の境~  作者: 夜霧


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15/17

大切なもの

 毎年、同じ海へ同じ仲間と、BBQをしに行く


 そろそろ今年の予定を立てようと、グループメッセージが届いた

 そんな頃から同じ夢を見るようになった

 毎日、毎晩

 夢には、誰かがいた


 日に日に、夢の中の誰かがはっきりしていく

 そしてある日、夢は一変した


 海の中で肩を掴まれて沈む

 浮き上がってもまた引きずり込まれ

 溺れる!と思った瞬間目を覚ます

 いつも口の中には苦い海水の味が残っていた


 そこは、見覚えのある

 毎年行っているあの海だった


 最近机の上が粉っぽいと思っていた

 そして、今日はそこが濡れている事に気が付いた

 やけにスマホ周りが濡れている

 もしや、と思い匂いを嗅ぐと、うっすら潮の香りがした

 海へ行く計画のグループメッセージの頃からの不可解な夢

 スマホ周りが海水の様なもので濡れている


 スマホを眺めていて、ふと気が付いた

 ビーチコーミングが好きな友達があの海で拾った石で作った飾り

 私はそれをスマホのストラップに付けていた

 これを海に返せばこの不可解な出来事が収まるかもしれない

 そう思って次のBBQには必ず返す!と心に決めた

 不思議とその日から夢は見なくなった


 BBQ当日

 私は真っ先に石の飾りをスマホから外し、海へと返した

 仲間と海に入っても何も起こらない

 大丈夫、終わった

 私は安心してBBQを楽しんだ


 もう一度海に入ろうと、日焼け止めを塗り直すためにラッシュガードを脱ぐと

 「それ、どうしたの?」

 と聞かれた

 なんのことか分からずにいると

「肩のところ、赤くなってるよ。ぶつけたの?」

 見てみると、確かに細長い赤い跡が三つ並んていた

「痛くもないので大丈夫」

 とだけ答えておいた


 日焼け止めを塗り直し、みんなと共に海を楽しむ

 疲れてきた私は声をかけて先に砂浜へ上がってはしゃぐみんなを見ていた

 眠い


 次に気づいた時は海の中だった

 なぜだか分からない

 とにかく岸へ泳ごうとしたその時肩を掴まれた

『返せ!』

 夢の女の人だ

「石は返したよ」

 私は必死に訴える

『返せ!』

 伸ばされた手が掴んだのは私の左耳だった

 ブチッという音と共に鋭い痛みが走る

 その時思い出した

 左耳に付けていた真珠のピアスは

 去年仲間が釣った魚から出てきた真珠を

 加工して作ったものだった事を


 あの真珠は彼女のものだったのか……


 痛む左耳を触ると少し切れてはいたものの、耳は無事だった

 キャッチが外れたことでピアスが耳から抜けたんだ


 彼女はピアスを持って、いなくなったようだった


 私は浜へ上がり、荒い呼吸を整えていた


「キャァ!」

 短い悲鳴が響いた

 振り返ると白い飛沫が上がっていた


 そして私は思い出した

 あの時、真珠は『二つ』あったことを

 親友はピアスをつけないのであの真珠はペンダントヘッドにしていた


 周りにいた子達が親友を助けてくれたらしい

 あの真珠は無くなっていたが

 親友の首にはくっきりと指の跡が残っていた









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