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足跡
今年もいつものように祖母の家に行くと
門の前では迎え火が焚かれていた
ここまで歩いて来たのでさっきまでは汗をかいていたのに
門を超えると妙にひんやりとしていた
祖母の家に来るとこの家にいた猫のことを思い出す
縁側に座り置かれたままのご飯皿を手に持ち
ぼんやりと迎え火の灯りを見ていた
『カサッ』
不意に庭の暗がりで草が鳴った
似てる
まさかと思いながら名前を呼ぶと
昔と同じように足元へ擦り寄って来た
その夜、猫は家の中をひと通り回っていた
仏壇の前で止まり
誰もいない廊下を見つめ
最後に祖母が寝ている部屋の前で
じっと座った
おまえ、何やってるの?
そう言うと、猫は一度だけこちらを向いた
暗いところで光る目は
ただ静かにこちらを見ていた
朝になるとどこにも猫の姿が見えなかった
残っていたのは土の上の足跡だけ
猫のものと、その隣に並ぶ裸足の小さな足跡
祖母はそれを見てもなにもいわなかった
私は、猫が誰かを連れて帰ってきたんだとようやく気が付いた




